武富士がついに会社更生手続の開始の申立をするというニュースが出ました。(注:9月27日午後1時現在で、武富士からは申立について決定も発表もしていないというリリースが出ています。以下は実際に申立が行われた場合についての記述を含みます。)


 本日は、武富士は東証で売買停止、アコム、アイフル、プロミスといった同業他社も程度の差はあれ、大きく株価を下げています。


 武富士の最近のCDSのスプレッドは4300bps程度であったと聞きます(ただし取引が成立していたかどうかは不明)。1bpsが1%の100分の1を意味するので、4300bpsは43%、すなわち100円の元本の保証を得るために保証料が43円必要ということです。


 ちなみに、一般にスプレッドが200bpsを超えると要注意と言われ、ギリシア国債ですら400bps-600bps(法律事務所には端末がないので正確なところは知りませんが)程度なので、市場からの評価がよく分かるというものです。


 さて、本件は民事再生法ではなく会社更生法なので、原則として裁判所の任命する管財人が会社の財産の管理処分権を持つことになります。(追記-日経新聞電子版によると、今回はDIP型とのこと。)


 倒産のもととなった過払い金返還請求権も、社債など他の債権と同様に、更生計画に従って一部条件の変更がなされます。現在武富士の債券が20円くらいで取引されているとのことですが、弁済率は1桁との予想も出ています。


 更生計画案を可決するためには、更生債権の債権者の議決権の総額の2分の1を超える議決権を有する者の賛成が必要とされています(会社更生法196条5項1号)。


 なぜ今回民事再生でなく、会社更生を選んだのかは分かりません(そういえば、ロプロの時も会社更生でした)。ただし、民事再生法の場合、会社更生法と同じように債権額に応じた議決権の過半数の同意の他、債権者の頭数の過半数の同意も必要とするため、少額の過払い債権者を多数抱える貸金業者の倒産手続には民事再生法は使いづらいのかもしれません。


 さて、会社更生による再建が可能かについては、どのようなスポンサーが出てくるにせよ、現在の法定利息15%で消費者に貸付を行うモデルが今後ビジネスとして成り立つかどうかにかかっています。

 

 数日前には、過払い請求がピークを越えたとして消費者金融の株価が上がったというニュースもありましたし、案外持ち直すのかなと思い始めた矢先の事だけに、どちらに転ぶのか今のところ見当がつきません。