白鬼と射手
序章
ー時は江戸、幕末動乱期の真っ只中。
各地で血で血を洗う戦いが引っ切り無しに起こり、多くの命が奪われていき、道路には斬り合いに負けた者達の遺体が転がっていた。
とはいえ、それは人の多い都市部の話である。
今回、物語として紡ぐのは田舎にひっそりと住む、とある2つの種族の冒険譚。
京都から少し離れた山奥に、「狩尾(とがのお)村」というところがある。20人程度の小さな村で、そこには狩人の一族が住んでいる。
歴史の表には出る事のない一族。彼らは普段は村に潜み、狩をしながら生きてきた。狩の腕前は相当なもので、獲物はほぼ一発で仕留める。一説によればその腕を買われ、歴史の裏で暗躍したという話もあるが定かではない。
基本、彼らは無駄な殺生は好まない。命を狩る種族だからこそ、命を大切に扱うのだ。
しかし、そんな彼らには殺してでも仕留めなければならない敵対する種族が居た。
その名は「白鬼(なきり)」。字の如く鬼の一族である。
鬼、と言われて貴方は何を思い浮かべるだろうか。日本の昔話でも多々扱われてきて、有名である。一般的には、牛の角が生え虎の腰巻をした巨漢が当てはまる。
しかし、その地の白鬼と呼ばれる者達は違う。人の形をし、人間同様集落を作って暮らしている。
遠い昔から、何の因果かその2つの種族は争ってきた。理由など誰も分からなくなる程に。
「白鬼を見つけたら殺せ」、「狩人を見つけたら殺せ」。それが彼らの掟だった。
だが。星の巡りとは面白いもので。
これから始まりますは、狩人の少年と白鬼の少女が共に旅をする話…
何故敵対する種族の2人が共に旅をする事となったのか?
その旅の行く末に何が得られるのか?
この先は貴方が、その真実を確かめて頂きたい…
■つづく■
