舞妓さんと宴席 その相場は… 京都ここだけの話(2)
出張や旅行で京都へ、となると思い浮かべる人が多いのが舞妓(まいこ)さん。華やかだけど敷居が高そう、といったイメージがありますが、実際のところはどうでしょう。
【登場人物】
東太郎(あずま・たろう、30) 中堅記者。千葉県出身。人生初の「関東脱出」で京都支社に転勤し半年。取材時もオフの日も突撃精神で挑むが、時に空回りも。最近は休日でも必ずカメラを持ち歩くようになった。
竹屋町京子(たけやまち・きょうこ、25) 支社の最若手記者。地元出身、女性ならではの視線から、転勤族の「知識の穴」を埋める。祇園に近い四条大橋から鴨川の上流を眺める風景がお気に入り。
岩石巌(がんせき・いわお、50) 支社編集部門の部長。立場上、地元関係者との交遊も広く、支社で一番の「京都通」を自認する。自室の壁に地元金融機関からもらった市内地図を張り、訪れた名所をチェック。(登場人物はフィクションです)
■「割り勘」なら1万円でも
東太郎 うーん、弱りました。
岩石部長 珍しく元気がないな。本格的に夏バテか。
竹屋町京子 東京から遊びに来る先輩が「舞妓さんと遊びたい」ってリクエストしてくるそうです。
太郎 まだ土地勘がなくて……。そもそも舞妓遊びはどのぐらいかかるんでしょう?
部長 お茶屋遊び、と上品に言った方がいいぞ。京都には5つの花街(かがい)があって、それぞれにお茶屋と置屋(おきや)がある。
京子 舞妓さんや芸妓(げいこ)さんを呼べるお座敷があるのがお茶屋で、彼女たちが住み込んでいるのが置屋ですね。
部長 お茶屋に呼ぶと飲食代のほかに、彼女たちが置屋を出てから戻るまでの時間に応じた料金、花代がかかる。
太郎 なるほど。
部長 松竹梅で説明しよう。松は午後6時ごろからお座敷に入る場合。お茶屋によっても幅はあるが、こちらの負担は1人あたり飲食代込みで6万円くらいと見ておけばいいかな。
太郎 ……。
部長 竹にあたるのが、午後9時ごろからの「後席(あとせき)」。続けて2次会にまで呼んでいただいた分は多少安くしましょう、というわけだな。もっとも最近は企業も接待費が減り、彼女たちを呼ぶのは後席だけというケースも増えているそうだ。
京子 お茶屋は一見(いちげん)さんお断りですから、知り合いに常連さんがいないと入れないんですよね。
部長 いや、そうとも限らない。つてがなくても、お茶屋と提携しているホテルや旅館、料理店に頼めば舞妓さんを呼んでもらえる。それにこっちが大勢なら、1人あたり1、2万円ぐらいにおさまる。これが梅、だな。
太郎 それでも1万円以上ですか……。
京子 夏限定ですが、気軽に舞妓さんに会える場所もありますよ。今から行ってみましょう。
■歌舞練場にビアガーデン
9月上旬まで営業の上七軒ビアガーデン。中ジョッキと酒菜2品の「最初の1セット」は1800円
太郎 ここが上七軒(かみしちけん)のビアガーデンですか。歴史を感じさせる建物ですね。
京子 歌舞練場の庭で飲むわけですから、風情があるでしょう? メニューは普通のビアガーデンですが、舞妓さんや芸妓さんが交代でテーブルを回ってくれるんです。
太郎 あ、このテーブルにも舞妓さんが向かって来ますよ!
部長 おい、あれは日本髪を結っていないから芸妓さんだ。
京子 普段の着物姿と違って浴衣姿が見られるのは貴重ですね。見た目も涼やかだし。
芸妓さん おおきに。おたのもうします。
太郎 別のテーブルへ移っちゃいましたね。最初は緊張したけど、もっと話したかったなあ。
部長 混雑時はだいたい15分で次のテーブルに動くんだ。
京子 天気が悪くてお客さんが少ない時はじっくり話せるチャンスです。私の父は台風の日を狙って通ってますよ。
部長 ははは。夜10時までの営業だが、団体客が帰り始める午後8時以降も狙い目だ。
太郎 我々も雨の日はさっさと取材を終えてここに来ましょう。
部長 最近はお茶屋が経営する「お茶屋バー」も増えてきた。運が良ければ舞妓さんたちと会えることもある。普通のバーより多少高いが、一見さんが入れる店もあるからサラリーマンにはうってつけだな。
■華やかな春の舞台も
太郎 そういえば、母親も京都に来て舞妓さんが見たいと言っていました。お酒は飲めないんですが、そんな人でも楽しめる場所はありますか?
部長 やっぱり五花街の舞台公演だろう。上七軒の「北野をどり」、祇園甲部の「都をどり」など、公演が集中する春は街全体が華やぐ感じだな。
京子 そうですね。入場料は2000円から4500円。抹茶と菓子が楽しめるお茶席付きチケットもありますよ。
部長 花街好きなら「おおきに財団」に入会するのも手だ。正式名称は京都伝統伎芸振興財団。年3万円の会費がかかるが、五花街の各公演に無料招待してもらえたり、お茶屋を紹介してもらえたりと特典は多いぞ。
京子 通年で舞妓さんの京舞が見られる「ギオンコーナー」も初心者にはおすすめですよ。あと、祇園あたりを歩いているとお座敷への行き帰りの舞妓さんをよく見かけますし。
部長 京都は観光地のイメージが強いが、舞妓さんたちにとっては生活空間だからな。まあ、最近は一般の人がなりきった「変身舞妓」が歩いていることも多いな。
太郎 カメラを向けたら「私、本物じゃありませんけど」と言われたことがあります。
部長 写真を撮りたい気持ちは分かるが、舞妓さんを走って追いかけるのはマナー違反だぞ。くれぐれも迷惑にならないように。
京子 おしとやかな舞妓さんを見習って、東さんも少し落ち着いたらどうですか。
出張や旅行で京都へ、となると思い浮かべる人が多いのが舞妓(まいこ)さん。華やかだけど敷居が高そう、といったイメージがありますが、実際のところはどうでしょう。
【登場人物】
東太郎(あずま・たろう、30) 中堅記者。千葉県出身。人生初の「関東脱出」で京都支社に転勤し半年。取材時もオフの日も突撃精神で挑むが、時に空回りも。最近は休日でも必ずカメラを持ち歩くようになった。
竹屋町京子(たけやまち・きょうこ、25) 支社の最若手記者。地元出身、女性ならではの視線から、転勤族の「知識の穴」を埋める。祇園に近い四条大橋から鴨川の上流を眺める風景がお気に入り。
岩石巌(がんせき・いわお、50) 支社編集部門の部長。立場上、地元関係者との交遊も広く、支社で一番の「京都通」を自認する。自室の壁に地元金融機関からもらった市内地図を張り、訪れた名所をチェック。(登場人物はフィクションです)
■「割り勘」なら1万円でも
東太郎 うーん、弱りました。
岩石部長 珍しく元気がないな。本格的に夏バテか。
竹屋町京子 東京から遊びに来る先輩が「舞妓さんと遊びたい」ってリクエストしてくるそうです。
太郎 まだ土地勘がなくて……。そもそも舞妓遊びはどのぐらいかかるんでしょう?
部長 お茶屋遊び、と上品に言った方がいいぞ。京都には5つの花街(かがい)があって、それぞれにお茶屋と置屋(おきや)がある。
京子 舞妓さんや芸妓(げいこ)さんを呼べるお座敷があるのがお茶屋で、彼女たちが住み込んでいるのが置屋ですね。
部長 お茶屋に呼ぶと飲食代のほかに、彼女たちが置屋を出てから戻るまでの時間に応じた料金、花代がかかる。
太郎 なるほど。
部長 松竹梅で説明しよう。松は午後6時ごろからお座敷に入る場合。お茶屋によっても幅はあるが、こちらの負担は1人あたり飲食代込みで6万円くらいと見ておけばいいかな。
太郎 ……。
部長 竹にあたるのが、午後9時ごろからの「後席(あとせき)」。続けて2次会にまで呼んでいただいた分は多少安くしましょう、というわけだな。もっとも最近は企業も接待費が減り、彼女たちを呼ぶのは後席だけというケースも増えているそうだ。
京子 お茶屋は一見(いちげん)さんお断りですから、知り合いに常連さんがいないと入れないんですよね。
部長 いや、そうとも限らない。つてがなくても、お茶屋と提携しているホテルや旅館、料理店に頼めば舞妓さんを呼んでもらえる。それにこっちが大勢なら、1人あたり1、2万円ぐらいにおさまる。これが梅、だな。
太郎 それでも1万円以上ですか……。
京子 夏限定ですが、気軽に舞妓さんに会える場所もありますよ。今から行ってみましょう。
■歌舞練場にビアガーデン
9月上旬まで営業の上七軒ビアガーデン。中ジョッキと酒菜2品の「最初の1セット」は1800円
太郎 ここが上七軒(かみしちけん)のビアガーデンですか。歴史を感じさせる建物ですね。
京子 歌舞練場の庭で飲むわけですから、風情があるでしょう? メニューは普通のビアガーデンですが、舞妓さんや芸妓さんが交代でテーブルを回ってくれるんです。
太郎 あ、このテーブルにも舞妓さんが向かって来ますよ!
部長 おい、あれは日本髪を結っていないから芸妓さんだ。
京子 普段の着物姿と違って浴衣姿が見られるのは貴重ですね。見た目も涼やかだし。
芸妓さん おおきに。おたのもうします。
太郎 別のテーブルへ移っちゃいましたね。最初は緊張したけど、もっと話したかったなあ。
部長 混雑時はだいたい15分で次のテーブルに動くんだ。
京子 天気が悪くてお客さんが少ない時はじっくり話せるチャンスです。私の父は台風の日を狙って通ってますよ。
部長 ははは。夜10時までの営業だが、団体客が帰り始める午後8時以降も狙い目だ。
太郎 我々も雨の日はさっさと取材を終えてここに来ましょう。
部長 最近はお茶屋が経営する「お茶屋バー」も増えてきた。運が良ければ舞妓さんたちと会えることもある。普通のバーより多少高いが、一見さんが入れる店もあるからサラリーマンにはうってつけだな。
■華やかな春の舞台も
太郎 そういえば、母親も京都に来て舞妓さんが見たいと言っていました。お酒は飲めないんですが、そんな人でも楽しめる場所はありますか?
部長 やっぱり五花街の舞台公演だろう。上七軒の「北野をどり」、祇園甲部の「都をどり」など、公演が集中する春は街全体が華やぐ感じだな。
京子 そうですね。入場料は2000円から4500円。抹茶と菓子が楽しめるお茶席付きチケットもありますよ。
部長 花街好きなら「おおきに財団」に入会するのも手だ。正式名称は京都伝統伎芸振興財団。年3万円の会費がかかるが、五花街の各公演に無料招待してもらえたり、お茶屋を紹介してもらえたりと特典は多いぞ。
京子 通年で舞妓さんの京舞が見られる「ギオンコーナー」も初心者にはおすすめですよ。あと、祇園あたりを歩いているとお座敷への行き帰りの舞妓さんをよく見かけますし。
部長 京都は観光地のイメージが強いが、舞妓さんたちにとっては生活空間だからな。まあ、最近は一般の人がなりきった「変身舞妓」が歩いていることも多いな。
太郎 カメラを向けたら「私、本物じゃありませんけど」と言われたことがあります。
部長 写真を撮りたい気持ちは分かるが、舞妓さんを走って追いかけるのはマナー違反だぞ。くれぐれも迷惑にならないように。
京子 おしとやかな舞妓さんを見習って、東さんも少し落ち着いたらどうですか。

