今日の日経に掲載されたネット業界、SNS、グーグル、フェイスブックに関
する記事が面白いです。
グーグルの凋落、グーグルVSアップル、SNSとフェイスブックの躍進
興味深いですね。
以下引用-----------------------------------------------------
インターネット検索最大手、米グーグルのネット覇者の座が揺らぎ始めている。2010年はサイト訪問者数で交流サイトの米フェイスブックに抜かれて首位を明け渡し、株価も年間で5%下落した。人材流出も止まらず、「かつての輝きを失った巨人、マイクロソフトに似てきた」と揶揄(やゆ)する声も漏れている。
12月。米シリコンバレーのグーグル本社では毎年、幹部やメディア関係者が集まるクリスマスパーティーが開かれる。
メディアの集まりが悪く、定刻になってもやや閑散とした会場。手持ち無沙汰でもあったのだろう。グーグルのふたりの創業者、セルゲイ・ブリン、ラリー・ペイジの両氏が話しかけてくれた。
「日本から来たって?僕らはアキハバラに行くのが大好き。最先端の携帯電話が見られるからね」。
わずか5年前の2005年の冬のことだ。その後にネット業界を席巻することになる2人は無邪気に東京・秋葉原と日本製の携帯電話の魅力を語っていた。
10年12月。会場の様子は一変。クリスマスパーティーに顔を出したエリック・シュミット最高経営責任者(CEO)は記者団に取り囲まれ、引っ切り無しに質問攻めにあっていた。上機嫌で記者に応対する姿には有力企業を率いるトップの風格が漂っていた。
年が明けた1月。米ラスベガスで6日に開幕した世界最大の家電見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」。各国のメーカー首脳らがスピーチし、相次ぎ戦略商品を披露したが、主役はグーグルだった。
各社が目玉と位置付けるスマートフォン(高機能携帯電話)など新型端末には、軒並みグーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」が搭載される。10年4-6月期に米スマートフォン市場でOSシェア首位となった勢いは11年も続く。
かつてアキハバラでケータイに見入っていた立場から、携帯機器全般の心臓部を握り、サービスをリードする存在にまで一気に駆け上ったグーグル。ネット検索の最大手に君臨し、ネットの覇者であることは自他共に認めるところだ。
話題には事欠かず、先進企業のイメージも強い。しかし、このところ株式市場がグーグルに注ぐ視線は冷淡だ。10年の年初から年末までにグーグル株価は5%下落した。前年の93%上昇と比べると伸び悩みは著しい。スマートフォン分野で張り合うライバルである米アップルは同じ10年に51%上昇した。開きは大きい。
株価がさえないのはなぜか。理由は成長力への懸念にある。
まず、収益のほとんどを検索連動型広告に依存する事業構造。新たな収益モデルが見えず、広告収入が生命線である構図が創業以来、変わらない。
■ヤフーをマイクロソフトから奪う
「実は積極的だったのはグーグルの方ですよ」。10年7月に発表したグーグルと日本のヤフーによる検索分野での提携。ある交渉担当者はこう打ち明ける。
ヤフーは従来、株主でもある米ヤフーの技術を使ってきたが、前年に米ヤフーがマイクロソフトの技術導入を決めたため、日本側も検索エンジンの見直しを迫られていた。最終的にグーグルから検索技術を導入することになり、「幅広く選択肢を検討した結果、グーグルと組むのがベストと判断した」と日本のヤフーは説明した。交渉はヤフー側が主導したように見えた。
交渉担当者は曲折があったと明かす。
実際には「日本でもヤフーがマイクロソフトの検索技術を使うことでほぼ話がまとまっていた」。しかし、「グーグルがヤフーの筆頭株主であるソフトバンクの孫正義社長にアプローチし、ひっくり返した」というのだ。まずグーグル日本法人がヤフー側の意向を探り、脈ありと判断するとグーグル米国本社の部隊が乗り出してきて話をまとめたのが真相だと交渉担当者は話す。
提携でグーグルは日本の検索サービスの9割の技術を担うことになる。独禁法上の問題が壁にならないよう、事前に公正取引委員会に詳細な説明をするなど準備は周到だった。
広告収入に直結する検索分野では絶対に負けるわけにいかない——。そんなグーグルの事情が、なりふり構わぬ提携交渉からにじみ出る。
アンドロイドやパソコン用の「クロームOS」を無償で配れるのも、検索連動型広告の収入があってこそ。「ネット接続機器が増えればその分だけ当社のサービスの利用も拡大してネット広告の収益が増える」というのがグーグルの公式見解だが、広告に代わる収益の柱が見つからないのは悩みの種だ。自慢の無償OSも「どう収益につなげていくか、走りながら考えている状況」とある幹部は打ち明ける。
売り上げ、利益とも伸び率の鈍化傾向が鮮明になるなか、グーグルも検索連動型広告に頼る「一本足打法」の危うさは認識している。動画共有サイトのユーチューブや、ディスプレー広告会社ダブルクリックの大型買収など多角化の手も打ってきたが、現時点ではいずれも話題は集めるものの、収益面での成果が見えにくい。「グーグルがしようとしていること、したいと思っていることが明確でない」というのが、このところのアナリストの平均的な評価となっている。
株価低迷のもうひとつの要因は、検索サービスを通じてネット利用の「入り口」を押さえ、業界内での優位性を保つというビジネスモデルそのものが揺らぎ始めたことだ。グーグルの影響力が及びにくい領域がネットの中に着実に広がりつつある。
■人材流出止まらず
「キーワードに基づいて関連情報を探すだけならグーグルの仕組みは最適だが、インターネットはさらに進化しようとしている」。グーグル副社長として検索連動型広告の普及に携わったデービッド・フィッシャー氏は10年春、7年間勤めたグーグルを退社した。ほどなくして職を得た先は交流サイト(SNS)最大手の米フェイスブックだった。
グーグルが上場した04年に設立されたフェイスブックの社員は約2000人。うち1割がグーグル出身者といわれる。幹部を含め人材を奪われっぱなしのグーグルはシュミットCEOが自ら全社員に電子メールを送り、11年1月から月給を10%引き上げる方針を伝えた。しかし、フェイスブックのような株式公開を控える新興企業はストックオプションのインセンティブが大きい。「グーグルでは薄れてしまったのびのびとした雰囲気」(あるグーグルOB)も魅力だ。グーグルからの人材流出は当面、止みそうにない。
目の上のたんこぶのような存在となったフェイスブック。10年の年末にはグーグルにとって屈辱的とも言える情報が飛び込んできた。10年の米サイト訪問者数のシェアでフェイスブックがグーグルを抜いて首位に立ったというのだ。米調査会社のエクスペリアン・ヒットワイズが発表した。
■フェイスブックに首位譲る
フェイスブックのシェアは約9%で初めて首位となり、前年1位だったグーグルは7%強と2位に陥落した。さらに11年1月1日までの1週間を見ると、フェイスブックは11%にまで増える一方で、グーグルはやはり7%強止まり。ユーチューブを入れても11%弱とフェイスブックに届かない。
フェイスブックの会員数は5億人を超える。やり取りされる情報はグーグルに公開されておらず、その内容はグーグルでは検索できず、ググれない。
ネットの利用者がこれまでのように「まずは検索」ではなく、直接好みのアプリ(応用ソフト)を立ち上げて使うという行動パターンの変化もグーグルの検索サービスには脅威。「スマートフォン時代の主役は検索ではなくアプリ」。アップルのスティーブ・ジョブズCEOもこう言い切る。アップルは10年4月にはアプリと連動するネット広告事業への参入を表明、グーグルを脅かす。日本では電通と組んで市場を開拓するという。
「グーグルは『第2のマイクロソフト』になるかもしれない」。アナリストの間からはこんな声が漏れ始めた。独禁当局に一挙手一投足を監視され続け、新たな収益源が育たず、じわじわ失速したマイクロソフトの姿がグーグルとだぶって見えるとの指摘だ。
欧州連合(EU)の欧州委員会は10年11月末、独禁法に基づきグーグルの調査を始めると表明した。グーグルが自社の検索サイトの上位にライバル会社が表示されないようにしたり、ライバル会社には広告を出さないようネット広告会社に圧力をかけたりしたとの疑いが持たれている。グーグルはここ数年、独禁当局から検索市場での影響力の大きさを問題視され、他社の買収案件で手続きにストップをかけられるなど機動的な経営に水を差される場面が増えている。
米グーグルの主な動き 1998年 会社設立
2002年 ニュースサービス開始
2004年 株式上場
2005年 地図サービス開始
2006年 動画共有サイト、ユーチューブ買収を発表
2007年 「Gメール」サービスを一般利用者に開放
携帯機器向けOS「アンドロイド」の無償提供を発表
2008年 ネット広告会社ダブルクリックの買収を完了
独自ブラウザー「クローム」の提供を開始
2009年 携帯向け広告配信のアドモブ買収を発表
2010年 「グーグルTV」を発表
日本のヤフーと検索、広告分野で提携
2011年 パソコン用無償OS「クロームOS」提供開始(予定)
かつて当局の“標的”といえばマイクロソフトだった。米司法省などが独禁法違反で同社を提訴したのは1998年。最終的に回避したものの、裁判所から会社分割の命令も出された。「2001年末の家庭用ゲーム機発売のころまで、新事業に挑戦することへの自己規制が働いていたように感じる」と中堅社員は明かす。マイクロソフトがネット革命の波に乗り遅れ気味となり、パソコンソフト販売の「一本足」に甘んじているのは、独禁法問題と無関係ではない。
■グルーポン、グーグルになびかず
邪悪になるな(ドント・ビー・イーブル)——。グーグルは上場時、株主への手紙にモットーを掲げた。パソコン用OSで9割超のシェアを握り、業界に君臨する「悪の帝国」と一部でささやかれたマイクロソフトは、グーグルにとって反面教師的な存在だった。グーグルの経営思想は、マイクロソフトの看板商品であるOSを無償で配布し、技術を囲い込むマイクロソフトとは対極的に、どんどん公開するオープン路線に端的に表れている。自社OSの普及が加速するなかで、「マイクロソフト化」が指摘されるようになったのはグーグルには皮肉な展開だ。
10年に脚光を浴びたクーポン共同購入サイトの米グルーポン。グーグルは60億ドルともいわれる金額を提示して買収に動いたが、グルーポン経営陣はなびかなかった。これまで新興ネット企業の間では、富と業界での存在感の両方が手に入るとの理由で、グーグルに買収されることを経営目標とするムードさえあった。だが、風向きは変わり、グーグルにかつての求心力はない。
創業時からのグーグル幹部であるマリッサ・メイヤー副社長が語る。「大企業になれば影響力がかつてとは違うし、それなりの振る舞いを求められるようになる」。斬新な技術やサービスで世の中をあっと言わせ、同時に高い収益力も誇った輝きを取り戻せるのか。アンドロイドフィーバーの陰で、「成熟期」を迎えつつあるネットの巨人が苦悩を深めている。
する記事が面白いです。
グーグルの凋落、グーグルVSアップル、SNSとフェイスブックの躍進
興味深いですね。
以下引用-----------------------------------------------------
インターネット検索最大手、米グーグルのネット覇者の座が揺らぎ始めている。2010年はサイト訪問者数で交流サイトの米フェイスブックに抜かれて首位を明け渡し、株価も年間で5%下落した。人材流出も止まらず、「かつての輝きを失った巨人、マイクロソフトに似てきた」と揶揄(やゆ)する声も漏れている。
12月。米シリコンバレーのグーグル本社では毎年、幹部やメディア関係者が集まるクリスマスパーティーが開かれる。
メディアの集まりが悪く、定刻になってもやや閑散とした会場。手持ち無沙汰でもあったのだろう。グーグルのふたりの創業者、セルゲイ・ブリン、ラリー・ペイジの両氏が話しかけてくれた。
「日本から来たって?僕らはアキハバラに行くのが大好き。最先端の携帯電話が見られるからね」。
わずか5年前の2005年の冬のことだ。その後にネット業界を席巻することになる2人は無邪気に東京・秋葉原と日本製の携帯電話の魅力を語っていた。
10年12月。会場の様子は一変。クリスマスパーティーに顔を出したエリック・シュミット最高経営責任者(CEO)は記者団に取り囲まれ、引っ切り無しに質問攻めにあっていた。上機嫌で記者に応対する姿には有力企業を率いるトップの風格が漂っていた。
年が明けた1月。米ラスベガスで6日に開幕した世界最大の家電見本市「コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)」。各国のメーカー首脳らがスピーチし、相次ぎ戦略商品を披露したが、主役はグーグルだった。
各社が目玉と位置付けるスマートフォン(高機能携帯電話)など新型端末には、軒並みグーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」が搭載される。10年4-6月期に米スマートフォン市場でOSシェア首位となった勢いは11年も続く。
かつてアキハバラでケータイに見入っていた立場から、携帯機器全般の心臓部を握り、サービスをリードする存在にまで一気に駆け上ったグーグル。ネット検索の最大手に君臨し、ネットの覇者であることは自他共に認めるところだ。
話題には事欠かず、先進企業のイメージも強い。しかし、このところ株式市場がグーグルに注ぐ視線は冷淡だ。10年の年初から年末までにグーグル株価は5%下落した。前年の93%上昇と比べると伸び悩みは著しい。スマートフォン分野で張り合うライバルである米アップルは同じ10年に51%上昇した。開きは大きい。
株価がさえないのはなぜか。理由は成長力への懸念にある。
まず、収益のほとんどを検索連動型広告に依存する事業構造。新たな収益モデルが見えず、広告収入が生命線である構図が創業以来、変わらない。
■ヤフーをマイクロソフトから奪う
「実は積極的だったのはグーグルの方ですよ」。10年7月に発表したグーグルと日本のヤフーによる検索分野での提携。ある交渉担当者はこう打ち明ける。
ヤフーは従来、株主でもある米ヤフーの技術を使ってきたが、前年に米ヤフーがマイクロソフトの技術導入を決めたため、日本側も検索エンジンの見直しを迫られていた。最終的にグーグルから検索技術を導入することになり、「幅広く選択肢を検討した結果、グーグルと組むのがベストと判断した」と日本のヤフーは説明した。交渉はヤフー側が主導したように見えた。
交渉担当者は曲折があったと明かす。
実際には「日本でもヤフーがマイクロソフトの検索技術を使うことでほぼ話がまとまっていた」。しかし、「グーグルがヤフーの筆頭株主であるソフトバンクの孫正義社長にアプローチし、ひっくり返した」というのだ。まずグーグル日本法人がヤフー側の意向を探り、脈ありと判断するとグーグル米国本社の部隊が乗り出してきて話をまとめたのが真相だと交渉担当者は話す。
提携でグーグルは日本の検索サービスの9割の技術を担うことになる。独禁法上の問題が壁にならないよう、事前に公正取引委員会に詳細な説明をするなど準備は周到だった。
広告収入に直結する検索分野では絶対に負けるわけにいかない——。そんなグーグルの事情が、なりふり構わぬ提携交渉からにじみ出る。
アンドロイドやパソコン用の「クロームOS」を無償で配れるのも、検索連動型広告の収入があってこそ。「ネット接続機器が増えればその分だけ当社のサービスの利用も拡大してネット広告の収益が増える」というのがグーグルの公式見解だが、広告に代わる収益の柱が見つからないのは悩みの種だ。自慢の無償OSも「どう収益につなげていくか、走りながら考えている状況」とある幹部は打ち明ける。
売り上げ、利益とも伸び率の鈍化傾向が鮮明になるなか、グーグルも検索連動型広告に頼る「一本足打法」の危うさは認識している。動画共有サイトのユーチューブや、ディスプレー広告会社ダブルクリックの大型買収など多角化の手も打ってきたが、現時点ではいずれも話題は集めるものの、収益面での成果が見えにくい。「グーグルがしようとしていること、したいと思っていることが明確でない」というのが、このところのアナリストの平均的な評価となっている。
株価低迷のもうひとつの要因は、検索サービスを通じてネット利用の「入り口」を押さえ、業界内での優位性を保つというビジネスモデルそのものが揺らぎ始めたことだ。グーグルの影響力が及びにくい領域がネットの中に着実に広がりつつある。
■人材流出止まらず
「キーワードに基づいて関連情報を探すだけならグーグルの仕組みは最適だが、インターネットはさらに進化しようとしている」。グーグル副社長として検索連動型広告の普及に携わったデービッド・フィッシャー氏は10年春、7年間勤めたグーグルを退社した。ほどなくして職を得た先は交流サイト(SNS)最大手の米フェイスブックだった。
グーグルが上場した04年に設立されたフェイスブックの社員は約2000人。うち1割がグーグル出身者といわれる。幹部を含め人材を奪われっぱなしのグーグルはシュミットCEOが自ら全社員に電子メールを送り、11年1月から月給を10%引き上げる方針を伝えた。しかし、フェイスブックのような株式公開を控える新興企業はストックオプションのインセンティブが大きい。「グーグルでは薄れてしまったのびのびとした雰囲気」(あるグーグルOB)も魅力だ。グーグルからの人材流出は当面、止みそうにない。
目の上のたんこぶのような存在となったフェイスブック。10年の年末にはグーグルにとって屈辱的とも言える情報が飛び込んできた。10年の米サイト訪問者数のシェアでフェイスブックがグーグルを抜いて首位に立ったというのだ。米調査会社のエクスペリアン・ヒットワイズが発表した。
■フェイスブックに首位譲る
フェイスブックのシェアは約9%で初めて首位となり、前年1位だったグーグルは7%強と2位に陥落した。さらに11年1月1日までの1週間を見ると、フェイスブックは11%にまで増える一方で、グーグルはやはり7%強止まり。ユーチューブを入れても11%弱とフェイスブックに届かない。
フェイスブックの会員数は5億人を超える。やり取りされる情報はグーグルに公開されておらず、その内容はグーグルでは検索できず、ググれない。
ネットの利用者がこれまでのように「まずは検索」ではなく、直接好みのアプリ(応用ソフト)を立ち上げて使うという行動パターンの変化もグーグルの検索サービスには脅威。「スマートフォン時代の主役は検索ではなくアプリ」。アップルのスティーブ・ジョブズCEOもこう言い切る。アップルは10年4月にはアプリと連動するネット広告事業への参入を表明、グーグルを脅かす。日本では電通と組んで市場を開拓するという。
「グーグルは『第2のマイクロソフト』になるかもしれない」。アナリストの間からはこんな声が漏れ始めた。独禁当局に一挙手一投足を監視され続け、新たな収益源が育たず、じわじわ失速したマイクロソフトの姿がグーグルとだぶって見えるとの指摘だ。
欧州連合(EU)の欧州委員会は10年11月末、独禁法に基づきグーグルの調査を始めると表明した。グーグルが自社の検索サイトの上位にライバル会社が表示されないようにしたり、ライバル会社には広告を出さないようネット広告会社に圧力をかけたりしたとの疑いが持たれている。グーグルはここ数年、独禁当局から検索市場での影響力の大きさを問題視され、他社の買収案件で手続きにストップをかけられるなど機動的な経営に水を差される場面が増えている。
米グーグルの主な動き 1998年 会社設立
2002年 ニュースサービス開始
2004年 株式上場
2005年 地図サービス開始
2006年 動画共有サイト、ユーチューブ買収を発表
2007年 「Gメール」サービスを一般利用者に開放
携帯機器向けOS「アンドロイド」の無償提供を発表
2008年 ネット広告会社ダブルクリックの買収を完了
独自ブラウザー「クローム」の提供を開始
2009年 携帯向け広告配信のアドモブ買収を発表
2010年 「グーグルTV」を発表
日本のヤフーと検索、広告分野で提携
2011年 パソコン用無償OS「クロームOS」提供開始(予定)
かつて当局の“標的”といえばマイクロソフトだった。米司法省などが独禁法違反で同社を提訴したのは1998年。最終的に回避したものの、裁判所から会社分割の命令も出された。「2001年末の家庭用ゲーム機発売のころまで、新事業に挑戦することへの自己規制が働いていたように感じる」と中堅社員は明かす。マイクロソフトがネット革命の波に乗り遅れ気味となり、パソコンソフト販売の「一本足」に甘んじているのは、独禁法問題と無関係ではない。
■グルーポン、グーグルになびかず
邪悪になるな(ドント・ビー・イーブル)——。グーグルは上場時、株主への手紙にモットーを掲げた。パソコン用OSで9割超のシェアを握り、業界に君臨する「悪の帝国」と一部でささやかれたマイクロソフトは、グーグルにとって反面教師的な存在だった。グーグルの経営思想は、マイクロソフトの看板商品であるOSを無償で配布し、技術を囲い込むマイクロソフトとは対極的に、どんどん公開するオープン路線に端的に表れている。自社OSの普及が加速するなかで、「マイクロソフト化」が指摘されるようになったのはグーグルには皮肉な展開だ。
10年に脚光を浴びたクーポン共同購入サイトの米グルーポン。グーグルは60億ドルともいわれる金額を提示して買収に動いたが、グルーポン経営陣はなびかなかった。これまで新興ネット企業の間では、富と業界での存在感の両方が手に入るとの理由で、グーグルに買収されることを経営目標とするムードさえあった。だが、風向きは変わり、グーグルにかつての求心力はない。
創業時からのグーグル幹部であるマリッサ・メイヤー副社長が語る。「大企業になれば影響力がかつてとは違うし、それなりの振る舞いを求められるようになる」。斬新な技術やサービスで世の中をあっと言わせ、同時に高い収益力も誇った輝きを取り戻せるのか。アンドロイドフィーバーの陰で、「成熟期」を迎えつつあるネットの巨人が苦悩を深めている。