藤野千夜さんの『時穴みみか』を読みました。すごく好きな作品になったので、たくさんの人におすすめしたいです。

 

主人公は小学6年生の大森美々加という女の子です。大好きなママと二人暮らしですが、電車通学で制服を着ているので私立なのかも。

生活には困っていなさそうです。

 

美々加は下校途中に黒猫の後を追っていってタイムスリップしてしまい、昭和49年の世界で小岩井さらという女の子になっていました。

さらは小学4年生でお姉ちゃんと弟がいます。家族はみんな美々加をさらだと思っていて、美々加が違うと言っても相手にしません。

 

この小岩井家の人たちはとても仲が良くて優しい人たちです。学校でも気の合う友達ができて、ここでの生活は幸せに見えるけれども、やっぱり美々加はママが大好きで、早く元の時代に戻りたいんです。

ママ、ママ、と頭の中はそれだけになってしまうこともありました。何度もこっそり泣いたのでしょう。誰にも理解できないし。

 

何とか元の時代に戻ろうとしますが、なかなかうまくいかず随分と長く昭和にいてしまいました。

自分は美々加だと思いながらも順応していきました。ママを忘れることはないけれども、家族や友達に愛着もわいてきて楽しいこともたくさんありました。

 

この時代は『ベルサイユのばら』が流行っていて、お姉ちゃんとは宝塚ごっこをしたり、友達とはこっくりさんをやったりしました。

 

最後はどういうことになるのかなと読み進め、読み終わるといいお話だったな、でももっと読んでいたいなと思いました。小岩井さん一家は本当にいい人たちで、ずっと一緒でもいいぐらいでした。

 

昭和49年のころが懐かしい人には特におすすめです。表紙も挿絵もかわいいです。