緑園都市伝説「神々のロボット」 -83ページ目

<馬車道の不思議少年・翔:第2話>1

文明開化の面影を残し市民に慕われる横浜馬車道には、
いくつかの町名の付く通りが横切っている。

その内の一つ住吉町の通りにはお酒の店、信濃屋がある。

その信濃屋の前で女は叔母さんと待ち合わせをしており、
まもなく待ち合わせの時間13時が過ぎようとしていた。
吹く風が冷たく感じる11月半ばのことだった。

なぜ叔母さんが御馳走をしてくれるのかはわかっていた。
勤め先の小さな商社をわけあって先月退職したばかり。
沈んでいる彼女を元気づけようと時間を取ってくれている。
申し訳ないと思いながらも断る理由もなかった。

時間には決してルーズではない叔母さんが、
時間通りに現れないのを不思議に思いながら、
何度も時計を見て、住吉町の通りの左右に目をやった。

通りの向こうには馬車道と並行に走る関内大通りがあり、
そちらから入ってくる自動車が目の前を通り過ぎていく。
一方通行のため車が多い時でも流れはスムーズだ。

車が流れる通りの向こう側にも歩道が設けられている。
関内ホール沿いの歩道でこちら側より幾分広い。
女は何気なくその歩道の方にも目を向けた。

 (記 原田修二)

■次回は12/29 <馬車道の不思議少年・翔:第2話>2