<馬車道の不思議少年・翔>3
ソフト会社には、どんなサイトを作りたいかをまず伝えた。
親父から意見されていたように、全体として落ち着きがあり、
店が扱うすべての商品を網羅し商品説明も詳細にしたい。
男は、こちら側の構想を一気に伝えた。
ソフト会社からは、要望に沿ったサイト作りは問題ないが、
売れるサイト作りにはひと工夫が必要ですよと提案された。
例えば見つけやすいための工夫、興味を引くための工夫、
賑わいを出すための工夫、お得感を出すための工夫、
等々、何でも対応できますよ、とのことだった。
しかし男は、やっぱり来た、その手に乗るかと受け止めた。
提案は有難いがまずはこちらの要望を実現してほしい、
との返事に、ソフト会社はそれ以上の展開はひとまず断念した。
その次の打ち合わせでは、ソフト会社から見積が示され、
用意すべき店舗情報、商品情報、商品写真が伝えられた。
ソフト会社の担当者は進展があるたびに店舗を訪れ、
時には男が馬車道のソフト会社に出向き、
何度も何度もやり取りを繰り返した後、
URLやサーバーまでも先方にお願いして、
待望のネット販売がスタートしたのは昨年末11月だった。
ネット販売開始の情報は、店舗内の壁に大きく表示し、
合わせて地元紙やタウン誌にも広告を出し、
把握している限りのお得意様にはDMも送った。
年末商戦に間に合ったこともありネット販売は順調に船出した。
年が明けてからも少しずつ販売は伸びた。
これで将来は明るいと、男の心に慢心が生まれ始めていた。
サイトでは日常的に商品の入れ替えはしたが、
工夫が必要ですとのソフト会社の声には耳を貸さなかった。
そして3月が過ぎ、急降下が始まった。
隣に座る少年はいつのまにかゲームをやめていた。
覗き込むと、驚いたことに男のおもちゃ屋の販売サイトだった。
(記 原田修二)
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