<馬車道の不思議少年・翔>1
<馬車道の不思議少年・翔>1
季節は夏から秋に移ろうとしている頃、空は薄曇りだった。
男は馬車道に来るときはいつもスタバでコーヒーを飲んでいた。
特にキャラメル・マキアートが大のお気に入りで、
奥の席に座って静かに飲むのは彼の至福の時だった。
しかし今日は様子が違っていた。
スタバのすぐ隣のコンビニでホットコーヒーを買い、
関内ホールの前のベンチに座って飲んでいた。
男は仕事上の悩みを抱えていた。
親父から2年前引き継いだおもちゃ屋の経営が芳しくない。
起死回生に昨年末立ち上げたネット販売は、
お得意さんの応援もあって徐々に売り上げを伸ばしたが、
何故か今年の春以降、あっという間に失速し始めた。
ネット販売に軸足を移すのは間違いではないと思いつつ、
このままでは店頭販売もネット販売も期待出来そうになく、
経営が維持できなくなる日が近いことは容易に予想できた。
さてさてこれからどうしたものか、どういう手を打つべきか。
コーヒーを飲みながら思いを巡らしていたところ、
いつの間にか、かわいい小さな少年が目の前に立ち
彼の顔を見つめていることに気がついた。
青いポロシャツとチェックのズボンをはいた少年は、
まだ小学生前に見えたが、周りに親の姿は見えなかった。
不釣合いなほど大きなカバンをたすき掛けにかけていた。
(記 原田修二)
■続きは11/17 <馬車道の不思議少年・翔>2