君の、形のいい耳たぶを噛むと

軟骨がごりっと鳴った



食べても食べても太れないと

少し困ったように笑う君は



確かにどこもかしこも痩せていて

骨ばっている



それを一つ、ひとつ

あたしは噛んで

舐めていく



存在を肯定するように

否定するように



華奢な肩は

それでも女性のそれとは違って

男の匂いがする



いつの間にかどこかで



君は男になる



あたしさえ知らぬどこかで

今日も、明日も



少しずつ

大きくなって

少しずつ

離れていく




だから、あたしは

こうやって



噛んでいるのだ




あたしを肯定するように




君に痛みを与えるために



君に痛みを与えるために











いつも
理由を
探していた


今日君に
メールをする
理由

電話をする
内容

会う為の
口実


そんなもの。


関係なんてなかったのにね

君の声が
聞きたいから
電話をして

君の肌に
触れたいから
会いにいく

そんな簡単な事が
どうして
言えなかったのか

全く
わからないけど


君は
あたしを受け入れてくれる



同じ景色をみたいの


多分


そういう事を


わかってくれる





それって
死んじゃいそうなくらい
幸せだ
君の日常を覗きたいとか

ましてや管理したいなど思わない


何をしてても
どこにいても
誰といたっていいの


その薄い携帯電話が
あたしの知らぬ番号でいっぱいだったとしても

そんなのどうだっていい

でも

君が

「別に嫌な事があったわけじゃないけど、やりきれない」

時や

「ビアズリーの絵を観て少し感情が動いている」

時には

一番傍にいたい

必ず隣で共感していたい

同じ空気を同じ温度で感じていたいの


我が儘かな


君の一眼レフのカメラ

そのファインダーに今、ちょっとだけ嫉妬している