コント「座布団稼業」




電話注文を受ける男。


「はい、座布団3,000枚、ご注文ありがとうございます!」

ジャンジャン鳴る電話。

「はい、座布団700枚、すぐお届けします!」

休みなく電話を受ける男。
合間にどこかへコールする。

「配達ロボットヤマダくん緊急出動!」

「ヤマダくん量産体勢!」

画面には、ロボットが各地へ出動している様子。


背中合わせのデスクでは、別の男が、お返し座布団配達システムを操作している。こちらは無言で、画面操作のみ。



しばらくしてチャイムが鳴り、休憩時間。
電話などの接続も、自動的にオフになる。伸びをして、コーヒーを持って来る男達。




「座布団ってなんだろな?」

「俺はもうそんな事考えなくなったよ。」

「お笑いってなんだろな?」

「少なくとも、数で評価されるものじゃないだろう。めんどくさい事、考えるなよ。」

「俺、この仕事の事、家族や友達に言えない。」

「言っても信じてもらえないさ!」

「知り合いで大喜利にはまっている奴がいるんだけど、なんか、辛くて疎遠になった。」

「分かるよ。俺自身も、早くにログアウトした。」

「俺、辞めるかも知れない。この頃眠れないし。」

「体資本だから止めないよ。お前が辞めても、また入って来るさ!」

「俺みたいに騙された奴がね!ハハハ・・。」

「社会勉強だと思えばいいよ!思えればな・・。」

「ホントに、お笑いってなんだろな?」

「笑えない現実が、笑いを作っているんだ。」

「カッコいい!正に俺たちの姿そのもの!」

「本当の笑いは、人を幸せにするものだと思うよ。」

「又々いいこと言う!ねえ、今日飯に行こう!」

「いいよ!本当の笑いについて語ろうぜ!」




再びチャイムが鳴り、仕事に戻る男達。