コント「叩き売り」




「あれ?なんかあっちの方賑やかだな?」


「安いよ安いよー!お買い得だよ!」


「何売ってるのかな?」


「もう後がないよー!お買い得だよ!」


「何?何?人で見えない!」


「ハイ、ありがとうお嬢ちゃん♪」


「お、売れたんだ!」


「お嬢ちゃん思い切ってやってみよう!」


(バン!バン!)


「なんか叩いてる音する」


「お嬢ちゃん上手!決まったね!」


「なんか思い切ってやることやってんのかな?」


「安いよ安いよー!ケーキが1個たったの100円!」


「え~?安い!ケーキの叩き売りだな!あー、クリームの匂いする!」


「1個と言わず2個でも3個でも!思い切ってやってみよう!」


「俺も、この数日ボッチだったからケーキ食ってない・・買おうかな?」


「あとわずかだよ!ハイ、ありがとうお兄さん!あんたラッキーだよ!」


「どんなケーキかな?全然人で見えない・・」


「ハイ、お兄さん遠慮しないで!」


(バン!バン!)


「オーさすがだね!もう2個!」


(バン!バン!)


「見たいけど見えない~!」




買ったお客らしき人が、満足そうな表情で帰って行く。だが買ったものを手にしていない。


「さてさてラスト一つとなりました!」


「なんか分かんないけどあと一つ、欲しいなー!俺も満足な顔してみたい!」


「安いよ安いよー!最後まで思い切ってやってみよう!」


「クソ~!ちょっと通して!すいませーん!下さーい!」


「ハイ、誰か後ろのお客さん、通してあげてねー!」


「ありがとう!フーッ、やっと前にこれた!」


「ハイ、お客さん、100円ね。さあ、思い切ってやってみよう!」




そこには、昨日とおとといの恋人達を隠し撮りしたと思われる写真パネルが、ケーキのクリームまみれになって立っていた。