コント「いもよ~、いもいも!」芋屋編



運転している石焼き芋屋店主と、助手席の妻。




「今日も完売したから気分いいな!」

「うん、だからもうアナウンスしなくていいんじゃないの?」

「バカ野郎~、これも宣伝の一環だ!明日につながる営業活動なんだぞ!」

「ハイハイ、分かりました!もう、アイデアマンなのはいいけど、突っ走っちゃうから・・ブツブツ」

「なんかブツブツ言ったかぁ?」

「イヤ、何も!好きにやって!」



以下、店主のアナウンスと、妻がブツブツ言うツッコミ。




「い~も~、石焼~きいも~!」


『最初だけはいいのよね。普通だから。これに騙されて詐欺だーっとか思われないか、心配・・』


「石のような、いも!カタイよ!」


『ダメでしょう!硬かったら!って、聞いた人思うよね?』


「じゃなくて、いものような、石!カタイよ!」


『石ならそりゃあカタイでしょう!って、誰でもツッコミたくなるよね?』


「で焼いたいものような、いも!旨いヨ!」


『いものようないも、まんまだし!これ、面白いのかな?』


「い~も~、石焼~きいも~!クリスマスには、石焼きいも!半ば強引だヨ!」


『クリスマスには、通常ケーキとかチキンよね?強引なの、自覚あるんだこの人!』


「い~も~、石焼~きいも~!サンタさんの、プレゼントは妖怪いもッチ!大人気だヨ!」


『大人気は妖怪ウォッチでしょう!妖怪いもッチって何?何でも便乗すればいいってもんでないし!』


「い~も~、石焼~きいも~!今年の流行語は、いもじゃないの~?いもよ~、いもいも!」


『スゴい、練習しただけのことはあるわね?芸人の真似も上手くなったわ、この人!』


「大晦日には、除夜のいも~!煩悩の数だけ食べてネ!」


『なにソレ!煩悩の数だけ食べたら、命取りになるよ!ドクターストップだわ!』


「お正月には、おいも番組~!大爆笑だヨ!」


『お正月はお笑い番組でしょう!いもでどうやって大爆笑するっての?』


「七草いもを忘れずに!ご馳走で疲れたお腹を、いもで休めてネ!」


『それ七草粥でしょう!普通いも食べ過ぎたらお腹張るでしょう!』


「好きな男子に、いもで告白! これ、受け取って下さい!」


『それ、絶対ふられるよ!あんたはいも貰って、本命と思えますかっての!』


「ひな祭りには、いも雛を!」


『いも人形飾るの?もういもいも耳タコだわ!』


「当然、こどもの日にも、いも兜と、いものぼりを!」


『いもはのぼらないでしょう!それより入学を抜かしたけど?』


「ちょっと戻って、入学祝いに、いもンドセルを!」


『わかってんじゃない!てか、いもンドセルって何?もう意味不明!』


「ジューンブライドに、いもシャワーを!めでたいヨ!」


『いもを撒くつもり?かんべんだわ!当たったら痛いし!』


「キャンプのBBQに、いも焼いてネ!アウトドア万歳!」


『アウトドア好きだからねー男!』


「猛暑には、いもアイス!頭キーン!」


『早く一周してくんないかしら?ホント頭キーンとする!』


「花火大会も、打ち上げいもだよ!ヒュルルル!パーン!」


『もう花火の音も上手すぎ!聞いてる人、応援したくなるかも?』


「やっぱり秋は、焼きいもだよ!いも飽きて来たヨ!」


『あんたがすすめてるんじゃない!』


「紅葉狩りに持って行くのは、ほどほどにしといた方いいヨ!」


『もうすでに、普通にしゃべってるし!』


「一周して、い~も~、石焼~きいも~!旨いヨ!」


『なんか凄くいも以外のもの食べたくなって来たわ!』


「石のような~いものような石で焼いた~石焼~きいも~!旨いヨ!」


『なんかこの人の頭、いものような石でとっても殴りたい!』




「でも残念ながら~売り切れだヨ!いもでガッポガッポだヨ!」


『えっっっ!ガッポガッポ?今時そんな言い方する~?』





マイクをOFFにする。

「なんかブツブツ聞こえたけど・・?」

「なんにも言ってないわよ!あんたって、最高!」

「よーし、気分いいからまた繰り返そうっと!」


ONにする。



いもの車は、カーブを曲がり、どこかへ去る。アナウンスは小さくなって行く。