エセエッセイ「笑いの力」




 あれから3年ですね。

 思い出します。

 忘れるなんて出来ませんもの。

 あのとき....

 芸人達は悩みました。

 俺たちに何が出来るってんだ?

 笑えないだろう?

 不謹慎だろう?

 楽しげな番組は差し替えです。

 お笑いのライブも取り止めです。

 みんなが泣いていました。

 衝撃の余り泣く事も出来ない人もいました。

 かける言葉がありません。

 命ってなんでしょう?

 幸せってなんでしょう?

 自分は生きてていいんでしょうか?

 お笑いなんかやってて、いいんでしょうか?

 普段バシバシ突っ込み入れてるアイツも、

 オーバーリアクションが売りの野郎も、

 下ネタが得意なお方も、

 ダジャレ芸人も、

 筋肉芸人も、

 シチュエーションコント職人も、

 本家を食ったものまね芸人も、

 フリップ芸人も、

 ギター抱えた音楽芸人も、

 みんな悩みました。

「本当に人を笑わせるという事は」

「命削る思いだな」

「鋼の精神力、必要だな」

「誰が歯がねえって?」

「........」

「あ、ごめんなさい....」

 いつものキャラは、なりをひそめました。

 でも少しずつですが

「こんな時だから」

「そうだ、笑いの力を」

「笑うという事は」

「生きる事なんだ」

「生きる力なんだ」

 自分を鼓舞しながら、

 それぞれのやり方で

 心に葛藤を抱えながら、

 笑いに向き合いました。

 私は信じます。

 笑いの力を。

 私は信じたいです。

 笑いの力を。

 私自身、苦しい事や

 逃げ出したい状況や

 悲しい現実、後ろ向きの心、

 それらが襲って来た時、

「よし、ネタにしてやろう」

「ネタの宝庫だ!」

「これはおいしいエピソードだ!」

 そう思うようにしました。

 今泣いているあなた、

 泣くなとは決して言いません。

 うーんと泣くべきです。

 のちのち笑える日のために、

 うーんと泣くべきです。

 いつか笑える日のために。

 私はあなたが笑える手伝いを

 ほんの少し出来るなら、

 とても幸せです。

 笑いの力を信じているから、

 私はとても幸せです。


         づうさん