キャプテン・ハ―ロック | 監督ブログ  wecker

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「時空警察ヴェッカー」シリーズの原作・監督 畑澤和也の個人ブログです。
現在中国広東省で活動中

3泊4日の超短い滞在期間を経て、中国へ帰ってきました。

「日本へ行く」「中国へ帰る」という言い方を普通にするようになった自分が怖い。


何を於いても観ねばならぬ、中国スタッフにも観せねばならぬ、とういう使命感で過密スケジュールの中、映画「キャプテン・ハ―ロック」を観てきました。


そんな「使命感」が無ければ、普通に楽しみな映画でした。

本当に久しぶりに「松本零士作品」が銀幕で観られるんだから。


果たして!


前の記事でも先日のイベントでも「キャプテン・ハ―ロックには負けないぞ!」と発言したんですが…


①フルCG映画としては

本当に負けていないと思う。ほぼ同じ最新ツールを駆使してのCG作画、予算40億、5年の歳月を掛けた(らしい)のに対し、予算ほぼ1億円(それでも僕の映画としては最高予算)、1年足らずで作った作品としては、本当に負けていないと思う。平均年齢26歳の中国スタッフ、頑張ったと思う。


②脚本・構成については

「キャプテンハ―ロック」であったかどうかは別問題として練りに練られた(練られ過ぎておかしくなった?)

単純なストーリーを難解な構成とカッコいい台詞まわしでクールに見せようとする今風日本映画っぽい(はっきり書くと福井脚本ぽい)よく出来たシナリオ。

対してほぼ3日間(!)で作った、テレビシリーズ13本分のダイジェストでしかなく、まだ物語の序章しか描けていない畑澤脚本・構成。

ストーリーが未消化で結末が描かれていない、という点で(ダメだろ!)同じ気がした。


③興業として

東映アニメと日本映画の威信をかけ、ジェイムズ・キャメロンに問答無用の絶賛をさせた超話題作に対し、先日イベントに来てくださった声優ファンの方々と関係者しか知らない(;^_^A超マイナーな中国映画。

これはそもそも勝負にならない。

問題にならない(笑)。


改めていろいろ比較すると、比較できないというか比較するな!という感じ。


これはいつも思うことだけど

映画がヒットするかどうかは予算やキャスト、作品内容もだけど、やはりプロモーション次第だと思う。


少なくとも

「CGアニメーション作画能力」

そして

「作品への情熱」

はまったく負けていない!






ここからは個人的な感想。

一番違和感を感じたのはCG作画より、ハ―ロック自身の「声」

メジャー俳優にアニメの声優をしてもらう事自体は僕は賛成でも反対でもない。

小栗旬が悪い訳でもない、下手でもない。

井上真樹夫声でなくてはならない!という訳でもない。

あくまで個人的な感想ですが

他に適役の声優さんはたくさん居たのではないか…と。


彼の声、演技…最後まで違和感が抜けなかったです。

三浦春馬の台場正モドキにはあまり違和感感じなかったけど。


…これが自分がこの映画にノレなかった一番の理由。




そして今流行の「リブート」された世界観・ストーリー。

映画「わが青春のアルカディア」の荒牧、福井風「リブート」なんだろう。

僕とほぼ同年代の主要スタッフによるリスペクト作品…なのは分かるけど…


やはり男は自分の中にある「大切なもの」のためにだけ戦うのであり

そして皆それぞれ心の中にある「大切なもの」は違うんだろう。

その心の中になる「大切なもの」が分かち合えるなら、この艦に乗れ、共に闘って、ここで死のう、とハ―ロックは言っていた(と思う)。

「僕の中にいる」ハ―ロックは自分の後悔のための「やり直し」に仲間を道連れにする人ではないし、劇場版「999」で鉄郎を助けに来た人でもない。


死んだ友達との約束でも(だからこそ)命をかけて果たす、自分の旗の下で誰にも強制されず、誰をも強制しない。

それが僕の心の中にいるハ―ロック。


僕は少なくとも「あの」アルカディア号には乗りたくない。


メジャー作品を作(れ)る人と分かち合えるものが違う…のかなぁ、やっぱり俺は。



…しかしこの映画は「当たって」いるのだ。

そしてもっと大成功してほしい!

これも本音の中の本音。



「ガッチャマン」も観たかったけど観れなかった。

「スター・トレック」は飛行機の中で2回観た。

「風立ちぬ」は中国スタッフのたっての希望で一緒に観た。


そのへんはまた次の記事で。


どうも作品の感想を書くと批判っぽい書き方ばかりになってしまう。

これは僕の「観る力」の低下のせいだとも思う。



だからみんな、「キャプテン・ハ―ロック」観に行こうね!