街へ出かけようと思い、バス停でバスを待っていた。




時間が時間なだけに、一般客の他に学生さんが多かった。そこに彼はいた。





こちらはもうかなり暑い。私も長袖を羽織っているが、あくまで日焼け対策であった。そして彼も、半袖のシャツで。野球部か何かなのだろう、学生かばんと一緒に大きなスポーツバックを持っていた。




日差しは相変わらず強い。これではあまり日焼け止めの効果は期待できない。彼とは看板を挟んだ位置にいた。この暑さの中では待つ時間はいつもより長く感じられた。





私がバス停に来て5分ぐらいたっただろうか。遠くからバスがやってくるのが見えた。そこにいた人間がバスに合わせて動き始めた。私と彼も例外ではなかった。





しかし、バスが近付いてくると私の足は止まった。満員だったのだ。それに、このバス停からも5人程乗る。彼は乗ろうか迷っているようで、周りをキョロキョロしている。






私は早々と諦め、その足で空いたかげのあるベンチへ向かうことにした。そして、彼の前を通り過ぎる時だった。






彼が私に会釈をしたのだ。






最初は何が起こったのかわからなかった。とりあえず、ベンチに腰掛ける。






今のは…会釈?私に?






いや、勘違いかもしれない。だって彼とは今日初めて逢ったのだから。そんなことを考えながら、彼のいた方向に目を向けた。






その瞬間、彼と目が合った。





え?






そして、彼は私と同様にバスに乗るのを断念した。そして、私のとなりのベンチにやってきて腰掛けた。





それから、1分もしないうちに次のバスがやってきた。同じタイミングで席を立つ私達。その瞬間再び、彼と目が合った。






そして彼は私に微笑みを残してバスに入っていたのだった。






…これは禁断ロマンスの始まりでしょうか?←勘違いだから、安心しろ。