「佳歩」を観た。と言っても実は2回目。四国八十八ヶ所の霊場を歩くお遍路さんをモチーフにした、ある意味徳島県の宣伝映画だが結構面白かった。

 

ちょっとあらすじを。

 

冒頭、一人の僧侶?がある家の飼い犬をじっと眺める。その後の展開の伏線になっている。

 

その家は夫婦と男女の姉弟の4人家族。お母さん役が水野真紀さんで知っている俳優はこの人ともう一人くらい。大学進学を目指す弟と一日中ソファーでぐうたらしている姉が佳歩。この映画はオムニバスなので一人が主役とは言えないが、この姉が一応の主役か。姉役は大塚千弘さんだが知らない。

 

家族が皆出払ってしばらくぐうたらしていたが犬の散歩に出たところから話が始まる。猛烈な勢いで走る犬に引っ張られていく佳歩。

 

冒頭の僧侶がその様を見ていて、手に持った錫杖(しゃくじょう)でトンッと地面を叩くとその瞬間、佳歩は大きな穴の底に落ちていく。

 

助けを呼ぶが誰も来ない。その時あの僧侶が穴の縁に現れ錫杖を差し出す。

 

佳歩が差し出された錫杖の先を掴むと・・・。

 

この錫杖を掴むことでいくつかの短いストーリーがオムニバス形式で切り替わっていくことになる。最初の話。

 

何をやっても上手く行かない若い男性のお遍路さんが霊場参りに途中、一人のお婆さんから自分は行けないから代わりに鐘を突いてきて欲しいと頼まれる。お遍路さんは”同行二人(どうぎょうふたり)”と笠や持ち物に書いたものを身に付けて歩くが、これは常に弘法大師が一緒に居るという事を表しているとのこと。この先の話もそうですがこの”同行二人”がテーマになっていると思われます。

 

このお婆さん役は多分地元の人なんじゃ無いかと思いますが、その後も歩き疲れた若者の前に突然姿を表し助け舟を出してくれますが、いい味を出しています。この若者はこのお婆さんに心情を吐露し活力を得たようです。

 

佳歩が現実に戻ってまた錫杖を握ると、今度はお遍路さんには似合わない今時の若い女性の話。

 

途中途中道を間違えますが、その度地元の人たちに助けられます。いよいよ誰も通らないような山道で道に迷った時、一匹の黒い犬が先導して助けてくれます。若い女性はその犬に婚約者に振られたこととか心情を話します。

 

また現実に戻った佳歩が再び錫杖を握ると、今度は中年の女性のお遍路さんです。もう足腰が立たないくらい疲れが出てしまった様子を見て近くで写生していた若い男性に助けられます。若い男性はその女性をおぶって霊場まで連れて行ってくれます。女性は子供を亡くしその遺灰と一緒にお遍路していることを話します。

 

再び錫杖を握ると最後の話です。年老いた男性のお遍路さん。小さな会社を経営し一時は羽振りが良かったものの不況により会社が倒産した人です。やはり疲れ果ててもう歩けそうもないという時、二人の可愛い少女たちから花をもらいます。

 

それで少しは元気が出ましたがとうとう倒れるかという時、佳歩が突然現れ老人を支えます。この老人役は浜田晃さん、知っている人だ。

 

病院へ行くように勧める佳歩に対し、頑なに歩くことを譲らない老人。詰問する佳歩に辛い人生の中にも小さな幸せを感じることが出来ると話す。老人から花を分けてもらう。

 

最後は家族団欒のシーンで終わる。

 

どれもその辺に沢山ありそうな話で、ごく自然体の話の進み方に一服の清涼剤のような映画でした。

 

気になったら本編を観てみて下さい。