リヒャルト・シュトラウスを聴いてみたい。
こんな時は何を選べばいいか。
この人の場合は結構難しい。何故だろう、ショパンやドビュッシーでは曲選びに困らなかったのに。
この人は作曲テクニックは抜群で聴いて面白いことこの上ないんだが。
超有名はものとして映画「2001年宇宙の旅」の冒頭に使われた「ツァラトゥストラはかく語りき」があるが、この曲、冒頭のファンファーレの部分が印象的で、目まぐるしく曲想が変化する面白さがあるのだが、初めてだとちょっと辛いかも。
短いのでは「ドン・ファン」が面白いが、折角聴くのなら大作の方がいい。名曲は長く聴ける方が、その分楽しみも増えます。
ということで、お勧めは「英雄の生涯」。自分を英雄になぞらえて曲を作る尊大なところがこの人にはあるが、最初から最後まで飽きさせず聴かせる。そして最後はグァーと盛り上がって終わる。
1)英雄
冒頭から力強く「英雄のテーマ」が鳴らされる。
2)英雄の敵
木管の嘲笑的な響き。
3)英雄の伴侶
独奏ヴァイオリンが「伴侶のテーマ」を奏でる。
4)英雄の戦場
舞台裏から鋭いトランペットの響きが聴こえると戦いの始まり。
5)英雄の業績
自作のテーマが次々と演奏される。
6)英雄の隠遁と完成
イングリッシュホルンによる牧童の笛の音は田園の風景。最後英雄は死を迎える。
リヒャルト・シュトラウスはこれらの楽想をこれしかないという風に作曲している。
演奏はリヒャルト・シュトラウスに定評のあるカラヤンとベルリン・フィルで聴いてみて下さい。ネットで検索するといくらでも出てきます。どれを聴いても間違いない。
リヒャルト・シュトラウスには白眉とも言える傑作があります。「英雄の生涯」にそれほど感銘を受けなかったら、こちらをどうぞ。
「メタモルフォーゼン」。23の弦楽器のために書かれた曲で、第二次世界大戦でドイツが敗れる直前に作曲されました。曲の最後にベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」の葬送行進曲の冒頭が鳴らされ、この曲がドイツの死を悼むものということが明かされる。
これもカラヤンで。
この章終わり。