ドル凋落 | 新書野郎

ドル凋落

ドル凋落 ―アメリカは破産するのか (宝島社新書 309)ドル凋落 ―アメリカは破産するのか (宝島社新書 309)
三橋 貴明

宝島社 2010-03-10
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選挙には落ちても出版ペースは益々上がるばかり。まあ当選したらさすがに、このペースでは無理なのだが、世のエコノミスト(著者の肩書きはネットエコノミストなのだとか)が景気動向にあわせて悲観論を繰り返す中、こういう愛国エコノミストというキャラはニッチなものだったのかもしれない。ヤバイヤバイと言い続けている韓国経済が一向に崩壊する気配はないし、韓国、中国、EU、そして米国とまるで「日本以外皆沈没」の分析が果たしてどこまで正しいのかということもツッコミどころではあるのだが、鑑みれば、失われた10年だの20年だの、世界一の借金国だの言われ続けている日本だって、貧困層が増えたとか言ってもアイスランドとかギリシャみたいな事態になっている訳ではない。世界一の債務国がアメリカで、世界一の対外純資産国が日本という言い方をすれば、主従逆転ともなるのだが、貧乏人は借金もままならいし、借金できても支払いが遅れたり、取立てにあったりしたらアウトだが、金持ちは借金もできるし、支払いが遅れても無問題というのが世の常。言わば日本とアメリカは金持ち側だが、中途半端な金持ちだと、為替の変動だけで国が引っ繰り返ったりする訳だ。著者の言う通り、アメリカが引っ繰り返ることはないのだが、日本がドルを脅かせる唯一の国であるかどうかは分からん。中国も米国債大量保持で米国を脅せるかと思ったらそれは無理だったもんで、じゃあ日本国債なら簡単に日本を脅せるだろうと思ったら、逆に国債購入を歓迎されてしまったもんだから、慌てて売りに出したという経緯はあるけど。