悩めるアメリカ
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日経も「日経文庫」という新書なのか文庫なのか、入門書なのか研究書なのかよく分からん新書サイズのシリーズを長年自給自足でやってきたが、時代に乗り遅れんと始めた「日経プレミアシリーズ」では実績のある外部の執筆陣を起用。そんな中、「中の人」が書いた新書が出たが、元ワシントン局長の論説委員らしい。先に出た冷泉のが党派性を出しすぎだったから、バランスをとったのかもしれんが、こちらは政治イヤーにも関わらずひたすら社会ネタ。意識したのは「ルポ貧困大国アメリカ」の方か。不法移民、戦争帰還兵、失業などお馴染みテーマが続き、今は亡きハンチントンにも会って来た様だ。ブッシュの戦略を練ったというジョン・ユーという韓国系はあまり知られてないな。アメリカにいる留学生が就職をあきらめ続々帰国しているという話は興味深い。留学とか移民で知識人材を確保し、技術革新を繰り返してきたアメリカのサイクルもいよいよくずれるという訳か。9.11以降、ビザ発給の関係で留学生の就職は難しくなっているとのこと。アメリカにおける教育は云わば投資だったのだが、これから産業という位置づけになると、外国人への奨学金も厳しくなるのだろう。それはアメリカ人学生にとっても同じ事で、大学を卒業するメリットというのが急速に失われている様だ。ハーバードとかの名門も景気後退で寄付金や資産が減少すると、国外から優秀な学生を集めるという戦略も見直し「バイ・アメリカン」に転じるかもしれない。著者はそれでもアメリカの未来を信じているということだが、こどもに米国籍でも取らせたのかな。
★★
