「孟子」は人を強くする
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慶應高のカリスマ先生もこれで新書5冊目か。今回は「孟子」だが、相変わらず「超訳」が良い。孟子は孔子ほど、中国では評価が高くないとも聞くが、この超訳だけ読むと、何か現代の中国に対して壮大な皮肉を展開しているとしか思えない。カリスマ先生は、その辺はさすがに「教育的」で、これを現代の日本に対する戒めなどとしているのだが、ちょっと中国を齧った生徒さんからは、「先生、今の中国は孟子の教えと逆行している様に思えます」などと言われたりするかもしれない。孟子も、また天下国家を語っているのだが、ここでタイトルに「人を強くする」としたのも「教育的指導」なのだろう。天下国家も「大人」によって治められば、平穏な社会が営まわれる訳で、その辺が「王道」と「覇道」の違いということなのかもしれない。その意味では、現代の中国が事あるごとに「覇権を求めない」と言い続けるのも、自分たちが「王道」の政治をしているという自覚があるからだろう。とはいえ、古い人たちが言うには、昔の中国の政治家は「大人」であったが、現在はそうではないという。たしかに、新中国があるのは日本のお陰とまで言った毛沢東や黒猫白猫の鄧小平などは「大人」であったが、「反日」に狂騒した江沢民などは「小人」としか言い様がなかろう。しかしながら、現代中国の「大人」が国を治めた時代に国民の生活が安泰であったかというとそうではない。「大人」の忠君に過ぎなかった周恩来は中国人の間でそれほど評価が高い訳ではないのだが、某宗教団体をはじめとする日本の「親中派」が周恩来を「大人」の位置に祭り上げるのは、そこに「血塗られたイメージ」が重ならず、自分たちの「カリスマ」とバッティングしないからであろう。孟子は国や宗教、組織といったものの指導者を戒めるには個々人の見識を高めるしかないと言っている様に思える。「孟子」は人を強くするの「人」とは「集団の一部」である「人」ではなく、個々人の「人」であるということを著者は伝えたいのだろうか。
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