黄金郷伝説 | 新書野郎

黄金郷伝説

黄金郷(エルドラド)伝説―スペインとイギリスの探険帝国主義 (中公新書)黄金郷(エルドラド)伝説―スペインとイギリスの探険帝国主義 (中公新書)
山田 篤美

中央公論新社 2008-09
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全く同じタイトルの新書が講談社現代新書に入っている様だ。講談社のを書いた大貫良夫は発掘顛末記みたいのを中公新書からも出していて、そっちの方は大変面白かった記憶があるのだが、こちらの新書は市井の美術史家という人が著者らしい。それもムガル美術が専門で、エルドラドについては神戸製鋼に勤務する夫君の転勤で、ベネズエラで駐妻していた時に研鑽し始めたとのこと。とはいえ、大貫を差し置いて「黄金郷伝説」中公新書版に採用されただけあって、結構面白いものだった。帝国主義者に侵略される先住民という「植民地史」の基本構図は押さえながらも、主題をオリノコ川流域におけるイギリスとスペイン・ベネズエラの攻防に絞っていることは大きい。その歴史の理由であった「黄金争奪戦」は得てして、「新大陸発見」という「ロマン」に置き換えられることが多いのだが、「新大陸」は「黄金争奪」の副産物であることは「植民地史」を考える上で念頭に置くべきであろう。現代の戦争もまた「石油」とか「ダイヤモンド」といった鉱物資源を巡る争いである訳なのだが、正に「火の無いところに煙はたたない」のが戦争の本質というものなのだろう。
★★★