ビートルズの謎  | 新書野郎

ビートルズの謎 

ビートルズの謎 (講談社現代新書)ビートルズの謎 (講談社現代新書)
中山 康樹

講談社 2008-11-19
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著者は元「スイング・ジャーナル」編集長という人だが、現在は評論家としてビートルズやボブ・ディランの本なども書いているらしい。ちなみにビートルズのメンバーの中でジャズを聴くのはポールだけとのこと。ジョンはジャズを忌み嫌っていたらしいが、この本は音楽評論の類ではなく、ビートルズの「伝説」を検証したもの。ビートルズがブライアン・エプスタインに「発見」されるきっかけとなった、「レイモンド」という少年は実在したかという「謎」から始まって、ビートルズ解散劇の舞台裏まで8つの謎を解き明かす訳だが、こうした作業はコアなファンの間では「謎」も「真相」も「伝説」になっているのだろう。「ストーンズ派」の私にはどうでもいい話ではあるのだが、結局、「伝説」は解散したり、死んだりして実存しないものから生まれるということか。「ブッチャー・カヴァー」や「ホワイト・アルバム」の騒動に関しては、むしろ意図的に「伝説」を作った感じもするのだが、ファン心理を捉えたマーケティングに長けていたからこそ、ビートルズの成功があったとも言える。その意味では、「レット・イット・ビー」もあらかじめ予定されたハプニングであった訳だが、一度、脱退宣言しながら、ジョンがビートルズに固執して裁判沙汰にまでなってしまうのは、そうした「演出」に抵抗があったからなのかもしれない。あと50年も経って、ビートルズのメンバーもそれを直接知る人間が死に絶えた時、ビートルズ研究はアカデミックの俎上に乗るのだろう。この新書もその時は「文献」としての役割を果たすのかもしれない。
★★