子どもの最貧国・日本
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著者は現役の児童福祉司ということで、タイトルからも日本の児童福祉問題がテーマである様にみえるのだが、アメリカ留学時代の研究成果を例に「貧困」と「児童問題」の関係を探ったもの。元々、福祉専門職として神奈川県庁に入った人(経済学部出身か)らしいが、四十も半ばにして、アメリカでソーシャルワーク修士というものに挑戦し、現地でインターンも経験したらしい。県庁の派遣かどうか分からぬが、この学位なら、向こうでも年齢的には平均的な学生だったのかもしれない。アメリカの児童問題発生と貧困に相関性があることは大方想像つくし、その多くがシングルマザー家庭であることも予想通りなのだが、無職である場合は90%が貧困で、母親に職がある場合は40%程度と下がるらしい。となると、これをワーキングプアが顕在化しているとみるか、福祉の弊害とみるかを判断するには、より詳細なデータが必要となろうが、福祉と仕事を天秤にかけるという状況は日米共に変わらないと言えよう。日米で顕著な違いがみられるのは、虐待の有無、薬物汚染といったところだが、これも、また日本の場合、表に出にくいということがあるのかもしれない。意外だったのは、日本の様な集団生活型の児童養護施設が欧州(西欧の先進数カ国であろうが)ではほぼ皆無で、米国でも里親制度が中心で、少人数のグループホームが多少存在するとのこと。児童養護施設はその集団生活に起因する問題が語られる場合が多いが、「擬似家族生活」として、「里親制度」とどちらが優れているとは一概には言えないようにも思える。児童養護施設を廃止し、その分、貧困家庭の生活保護を徹底した方が経済効率は良いというのも、その通りではあろうが、納税者負担の公平性という問題は同時にクリアしていかなくてはならないだろう。今の時代「教育」は貧困から抜け出す手段とは必ずしも成りえない訳で、高学歴社会到来と共に少子化した社会が、「労働力」の確保として多産化する第三世界型に後戻りするのも難しいだろうし、そうなれば更なる「貧困化」が進むだけである。経済成長はもうよしにして、人口を減らしてみるのも手かしれん。
★★
