韓国現代史 | 新書野郎

韓国現代史

韓国現代史―大統領たちの栄光と蹉跌 (中公新書 1959)韓国現代史―大統領たちの栄光と蹉跌 (中公新書 1959)
木村 幹

中央公論新社 2008-08
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韓国現代史といっても、大韓民国の歴史は六十年なので、そのまま大韓民国史ということになるのだが、その歴史を大統領の人物像に照らし合わせ描くというもの。韓国の大統領はこれまで10人だが、そのうち、崔圭夏、全斗煥、盧泰愚は除外されている。これは後に訴追されて客観的な研究がなされていないからとのことだが、韓国でも一度、罪人になるとそういう扱いになるのか。この辺も「儒教的」なものなのだろうか。とはいえ、やはり他の大統領経験者に比べて、この3人が小粒であったことも理由にあろう。全斗煥は光州事件、盧泰愚は民主化、オリンピックとあるのだが、朴正煕暗殺の棚ボタ大統領ですぐ失脚した崔圭夏と、朴正煕の様なカリスマがある訳でもない軍人上がりの全斗煥、盧泰愚はその情けない法廷姿も相まって特に「物語」とはなりえなかったのかもしれない。その意味では盧武鉉や李明博は「物語」で大統領に収まったとも言えるのだが、政界入りしてから約四十年もかけ、かつ獄中生活、暗殺未遂も経験して大統領になった金泳三、金大中に匹敵する様な「物語」が作れる筈ははない。李承晩と朴正煕は時にその「物語」を利用し、時に「隠蔽」した訳だが、アメリカと日本という担保がその基盤を支えたということは言うまでもない。まさか、その地位を北朝鮮が取って代わる時代が来るとは思わなかったが、近い将来、それも中国が取って代わるのだろう。尹潽善についてはあまり知られていないのだが、一番、韓国の伝統的性質を持っていたのはこの人の様だ。こうした伝統的人物が政権に就くことはもうないだろうが、保守でも革新でも、親米でも親北でも、キリストでも仏教でも、「伝統」という「小中華主義」を今後も大統領は唱え続けていくのであろう。
★★★