「チベット問題」を読み解く
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これも「チベット騒乱」の後、慌てて作った新書っぽい。著者は聞いたことがない人だが、売り込みなのかどうか分からんが、これが初著作みたいだ。元々「ビジネスマン」として、リゾート開発を担当し、現在は実務者の体験を生かして、現代アジア情勢を分析した講義をしてる人とのこと。ダラムサラを訪れたことがあるらしいが、特にチベットの専門家ということでもない様だ。入門としてはイイのかもしらんが、このテーマに関心がある人は、著者が参考にした(と思われる)サイトがすぐ分かるというものだろう。単に「中国」を悪者にした短絡的見方は賢明でないというのだが、自らその言葉を裏切っている様な感じがしないでもない。少なくともチベットが「善」であるという立場には変わらないので、巷に溢れる「フリチベ」の声と同質のものであり、それ以上の「何か」がある訳でもない。この前に読んだ密教の人が書いた本はその辺が大変面白かったのが、こちらの著者は「チベット仏教」については全く無知とのこと。中国人留学生の声なども紹介しているのだが、どうも作ったような台詞で、始めに結論ありきだから先が読めてしまう。チベットを知らずに偏見の眼でみる中国人も問題だろうが、ダラムサラに行っただけでチベットが分かったつもりなる日本人はもっと問題かと思う。今枝由郎みたいに確信的に行かないならいざ知らず、中国について一家言あるなら、せめてラサくらいは行って然るべきだろう。長野でも中国人がフリチベ勢を挑発してたのは「お前はチベットに行ったことがないくせに、余計なことを言うな」という言説だった。つまりチベットを知らない者同士が、自分の方がチベットを知っているという認識の上で、互いに相手は情報操作されていると思っている茶番劇なのである。
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