社会主義後のウズベキスタン | 新書野郎

社会主義後のウズベキスタン

社会主義後のウズベキスタン―変わる国と揺れる人々の心 (アジアを見る眼 110)社会主義後のウズベキスタン―変わる国と揺れる人々の心 (アジアを見る眼 110)
ティムール・ダダバエフ

アジア経済研究所 2008-07
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このアジ研の新書「アジアを見る眼」はジェトロに合併されて以降、消滅したとばかり思ってたのだが、生き残っていたのか。これで通算110タイトルめらしいのだが、約2年ぶりの刊行みたい。さすがに独立行政法人仕事らしく、まるで新書ブームに逆行する形だが、過去に良書もあるので、何とか続けていってほしいものだ。そういえばジェトロも新書やってたけど、最近みないな。「アジアを見る眼」とかいってガーナ本を出すくらいなら、ジェトロ新書を吸収合併して、もっとイキなタイトルで再出発したらどうだろうか。で、そんなアジ研には珍しく、非日本人の自国出身者が著者。訳者のクレジットがないけど、日本語原文なのか。著者は20代で東大助教授に就任した人らしいが、年齢的にモスクワ送りではなく、独立エリートとして養成された様だ(ウィキによると20で大学卒業)。ウズベキ本も中山恭子以来だから貴重なのだが、歴史とか地理とか、かったるいものは省いて、当のウズベク人の生活というところに的を絞っているので、ありがたい。中でもウズベキスタン人が抱くロシアへの愛憎といったところが大変興味深い。独立時に15歳ということはソ連時代も知る「戦前の教育」を受けた最後の世代といって良いかと思うが、この地域は地政学的にも、その複雑な民族構成的にも、単純に「教科書に墨を塗る」という訳にはいかなかった様だ。現在でもロシアに対するイメージが悪くなっていないのも、ソ連教育を受けた世代が当分は磐石であるからなのだが、特にソ連崩壊後の混乱期を知る者にとっては、ソ連という時代は「三丁目の夕陽」でもある様だ。とはいえ、著者より下の世代の「独立っ子」にはそんな意識はないそうで、5歳くらいの年齢差で「世代の断絶」があるらしい。もっとも、アプレたちによって、グルジアみたいな状況が生まれることはなさそうだ。グルジアにおける西洋型民主主義の影響はウズベキスタンにおいては、イスラームや「アジア」がストッパーになっている感じ。カリモフが政権を維持できたことについての説明もなるほど。著者は別に独立エリートとしてカリモフを擁護している訳ではないのだが、たしかに「欧米型」見地で単純に独裁者と決め付ける訳にはいかんだろう。最後に日本に対する好感度が韓国の後塵を喫していることに苦言を呈しているのだが、ウズベキスタン人の好感度はロシア、韓国に次いで3位というのは微妙なところだ。人間ごと浸透している両国に比べれば、まあ健闘していると言っていいんじゃないかな。
★★★