見えないアメリカ
![]() | 見えないアメリカ (講談社現代新書 1949) 渡辺 将人 講談社 2008-06-17 売り上げランキング : 2895 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
見えないアメリカとは「保守とリベラルのあいだ」というものらしい。この著者は前に民主党(米国)の選挙スタッフとなった経験を著した新書を読んだのだが、その後、テレ東に入ってディレクターになったものの、再び渡米して、コロンビアとジョージワシントンの研究所を渡りあるいたとのこと。前の新書もつい最近の様な気はしたが、この辺はアメリカ流ジョブ・ホッピングか。これはアメリカというのは保守とリベラルの単純な二項対立に色分けされている様にみえるが、その実、アメリカ的価値観とか、愛国心、宗教心においても、共通のものがあったり、相互乗り入れがあったりと一概には言えないということを説明したもの。ブルース・カミングスの様なニューレフトは、保守に対する批判よりも、保守を巻き込んだ論争を好むともある。カミングスの説に依拠したり、訳書を出したりもしているらしいが、シカゴではカミングスの門下だったのだろうか。その意味では著者はリベラル側に立つと言えるのだろうが、外国人留学生が保守陣営に入るということはあまりないことなのかもしれない。優秀なアメリカ人は象牙の塔ではなく、ビジネス界に吸収される訳で、アメリカの大学は「ウィンブルドン現象」状態なのは周知の通り、ともなれば、大学がニューレフトの牙城となるのも、資本主義的な理由で説明がつくことなのだろう。著者は日本式偏差値の枠組みでアメリカの大学を語れないのは、学生の宗教的理由があるからではないかともみているのだが、これはなるほど。宗教的大学というとブリカムヤング大くらししか思いつかないが、名門大学で宗教色を排しているのはコーネル大くらいのもとのこと。あくまでリベラルの側に立った視点での「保守とリベラルのあいだ」ではあるのだが、大統領選の理解の一環として好著ではなかろうか。
★★★
