金融権力
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この著者の学者としての評価はよく知らんのだが、なんか陰謀論めいた反米話が多く、落合信彦とかを平気で引用するなど、ちょっとアレな人かなと思ってた。岩波文化人とはまた一つ違うんだろうが、反グロ、反新自由主義陣営の御用経済学者の一人なのかもしれない。さて、この新書で槍玉に挙がるのは格付け会社で、格付け機関は金融会社と癒着しており、格付けなど市場操作の手段であるとしている。日本の信用度はボツワナ以下とされたとか大騒ぎしても、その格付けをした連中の信用度がどんなもんか疑問に思わないというのもたしかに変な話だ。今回も田中宇の引用などあるが、岩波新書ということもあり、わりとマトモな感じがした。ヘッジ,ファンドやノーベル経済学賞の成り立ちについては勉強になった。なんでもノーベル経済学賞はノーベル財団とは関係なく、スウェーデン政府がノーベルを「偲んで」創設した賞だそうで、賞金もスウェーデン政府が出しているのだとか。ノーベルは商売が嫌いだったから、経済学賞などはその理念に反するなどとノーベルの子孫から異議申し立ても出ているそうだが、著者が言いたいのは、そんな「ノーベル経済学賞」を受賞している学者が果たして信用に値するのかということ。シカゴ学派への批判だろうが、例のピノチェト政権の「シカゴ・ボーイズ」にも言及している。しかし、フリードマンという人は相当、その件で当時バッシングを受けたみたいで、それに対する弁明が面白い。グラミン銀行を「金融権力」に抗するモデル・ケースと位置づけているのは凡庸だけど、その嚆矢としてマルクスの好敵手だったプルードンの「人民銀行」構想を持ってきているのはすごい。
★★
