米国博士号をとるコツ
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タイトルだけみると、よくある三文留学指南書の様だが、そこは創成社新書、相当シビアな実態編となっている。この手のものは「英語が苦手な私でもできた」という「成功物語」で溢れていて、迷える子羊たちを更なる地獄に追い込む本が多い。博士号を取得することを最終目的とするなら、世の「留学生」の99%は失敗ということになるのだが、「失敗物語」がそれほど目立たないのも、失敗を恥とするより、目的は達せずとも何がしの収穫はあったということが大部分であろう。最近の「外こもり」ではないが、外国で生活することだけで生産的な日々を過ごせるなら、それも悪くないだろう。現代は国家や一族の期待を背負った夏目漱石の時代ではないのだ。その中で、初志貫徹するのは至難の業と言わざるおえず、この本で書かれているのも「コツ」というより、ノウハウを示し、後は自己責任でというアメリカ流。こと文系に関してはアメリカの方が日本より博士号を取得しやすいのは事実なのだろうが、それは学問的水準の問題ではなく、あくまでもシステム上の都合。とはいえ、アメリカでも教授との人的関係が大きく関係しているのは日本と変わらない。妬み僻みも当然あれば、奉仕搾取も当然ある。アメリカ人に博士課程は人気がなく、留学生がその主流となるのも頷ける話である。損得勘定で考えれば、どの国で自国人には意味がないものかもしれない。教授にとっても、日本人留学生は用済みで、今や中国人学生を採りたいというのも、損得勘定では納得できる話である。著者自身が帰国したことの理由は書いていないのだが、業績をあげれなかったらクビとか終身教授職とか、色々と察せられることは随所に出てくる。
★★
