ドバイにはなせお金持ちが集まるのか | 新書野郎

ドバイにはなせお金持ちが集まるのか

ドバイにはなぜお金持ちが集まるのか (青春新書INTELLIGENCE 202)ドバイにはなぜお金持ちが集まるのか (青春新書INTELLIGENCE 202)
福田 一郎

青春出版社 2008-05-02
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ドバイ本も久しぶりだが、青春新書も久しぶり。アジアどころか世界的にみてもほとんど一人勝ちの新興国はマスコミの露出も多いのだが、マトモな本な出ていないのか。この著者はドバイでコンサル屋をしている人らしいのだが、本の執筆には「ドバイ在住日本人ジャーナリスト」の協力を仰いだのだという。中東、イスラーム研究の王道からは外れるし、今までドバイを書けるタマがいなかったんだろうが、ドバイ在住ジャーナリストまで登場したとなると、これからは中国、インド同様にドバイ本が増殖していくのかもしれない。しかし、あの古の音楽評論家はさすが進取に富んでると思いきや、本家の福田一郎先生はもう亡くなっていたか。福田先生がメヌードからモーニング娘を考案したというのは知らなかった。毎日コンサートを観にいっていた時代はもう既に70に手が届こうかという頃だったのか。てなことはドバイの福田一郎とは関係ないのだが、こちらはデュッセルドルフ生まれで、ドイツ、リヒテンシュタイン、アメリカでコンサル稼業をしてきたという人。当然ながらアラブに対して思い入れがある訳ではないのだが、外国人比率が85%という国ではごく普通の市民ということ。この国には永住や帰化といったシステムは存在せず、外国人に参政権などもある訳がない。それでいて、外国人が暴動も起こさず、犯罪もほとんどなく、差別を訴えることなどもないというのは、「地上の楽園」なのだろうか。皆、出稼ぎに来ているだけという自覚があって3年ごとの在留許可では犯罪や暴動は割りに合わない。法人も3年ごとの更新制で、ドバイの人間はその名義上のスポンサーとなることにより、遊んで暮らせるという次第。外国人の人権などツマランことを訴えるのは自国で同様の問題を抱えている国の人間だということを書いているのだが、数が多いインドとか、西洋、日本といった外国人として可視できる人たちはともかく、レバノン、パレスチナ、エジプトといった「内なる外国籍アラブ」の人たちはまた違う感情がこの国の人間に対してあるのではなかろうか。そのうちバブルがはじける予感もするのだが、そのときは大きなしっぺ返しが待っている様な。
★★