愚か者、中国をゆく | 新書野郎

愚か者、中国をゆく

愚か者、中国をゆく (光文社新書 (350))愚か者、中国をゆく (光文社新書 (350))
星野博美

光文社 2008-05-16
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この時代の中国の雰囲気はよく出ていて、リアルタイムの世代は懐かしいものはあるのだけど、本当にただそれだけといった感も否めない。あの時代の中国を経験した者の常として、ついつい「昔は酷かった式」の話になってしまうのは覚えがある身としては反省すべきところなのだが、それも「三丁目のナントカ」風のノスタルジーみたいなものか。実際に、幾ら大宅賞作家とはいえ、文芸社辺りの旅行記と変わらないものが新書になるのは、それが既に「歴史的価値」というものを醸成しているからに外ならない。最後に変化を象徴する様な女子大生を登場させているのも、著者の意図がどこにあるかを明確にする為なのだと思うが、その分、ぼかしている部分も多い気がした。世の読者は著者とマイケルがどのような関係であるのかまず疑問に思うであろう。大宅賞の香港話でも、自分のコイバナをあえて削ったと思われる箇所があったのだが、これは今の相手に対する遠慮なのだろうか。それともそうした思い出は秘めたものにたかったのか、或いはわざと窺わせておいて、読者の想像にお任せということなのか。淡々とした日常をスケッチ風に描くのがこの人のスタイルであることは認めるのだが、どうも消化不良である。トイレの話も一体何の為に挿入したのか不可解である。しかし、今や伝説化した切符買い大会の話が新書で読めるとは思わんかった。私は当時、切符取り名人と言われた男だが、外人窓口の話が全く出てこないのは不思議。招待所に頼むとか、面子を重んじる中国人に頼むとか幾らでも方法があったのに、正直に何日も並んでいたのか。ダフ屋でも春節じゃない限り、当時は数元くらいの上乗せだったはず。あと広東語で百元は「バッマン」とは言わんだろ。とジジ臭いチェックが続きそうなので、この辺で。

★★