不平等国家 中国
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中国本もありとあらゆる本が出ている訳だが、たしかに全面的に社会調査に依拠した本というのは、あまりお目にかかっていない。それは中国でも事情は同じだった様で、数年前に中国で大々的な社会調査の本が出されるにあたっては、著者が北京の社会科学院に赴いてレクチャーをしたのだという。中国でこうしたデータを収集するに際しては、そのあまりに膨大な人口、広大な国土、極端な階層社会といった根本的な問題以前に、収拾する側と回答する側に政治的バイアスがかかっていないかといったものを考えなくてはならないので、信頼性について疑問符がつけられることが多い。もっとも、この手の調査には日本でも疑問が出ていることだし、私自身も「正直」な回答をしたことはあまりない。つまりどうにでも操作できるのが社会調査と思われている訳だが、著者はそうした風潮に真っ向から反対している様で、それならば、ジャーナリストや学者が自分の印象で書いた本が信頼に値するのかということらしい。そもそも巷に「中国通」が蔓延っているのも、中国が「とらえようがない社会」であるからであって、社会調査以上に信頼できるデータがあるかと言われればそれまでである。農民工が都市生活に満足していたり、中国人は学歴格差は当然だと思っていたり、はたまた日本人男性と結婚した中国人女性は幸福であると思っているといった結果は、先入観を覆すものとして作用する訳だが、数値化したデータが「中国通」の偏見より説得力を持つかというとそうではなかろう。データが一人歩きして、また新たな偏見が生ずる可能性もあるというものだ。「中国通」の論理には「オレ流中国」で対抗できるが、数値で出されると、一般人は黙らざるおえないから、面白くない。
★★
