ハプスブルク帝国の情報メディア革命
![]() | ハプスブルク帝国の情報メディア革命―近代郵便制度の誕生 (集英社新書 425D) (集英社新書 425D) 菊池 良生 集英社 2008-01-17 売り上げランキング : 97672 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
副題が「近代郵便制度の誕生」となっているのだが、タイトルはこちらの方が良かったのではないかと思う。著者はハプスブルク家研究をしている人の様だが、古代ペルシャ駅伝制度から、ローマ駅伝制度、近代郵便制度誕生の基盤となった制度を時系列に解説しており、ハプスブルク帝国が「情報メディア革命」を起こしたというより、歴史の必然として「近代郵便制度」が誕生したという流れをみることができるだからである。著者はその元年を1490年として、マクシミリアン一世とタクシス家の間で交わされた郵便契約をその嚆矢としているのだが、大学が学生の為に始めた「大学飛脚」が発達していたフランスや、切手制度を始めたイギリスなど、ハプスブルク帝国外にも、「近代郵便制度」の嚆矢を認められよう。とはいえ、万国郵便連合や、信書の秘密保持、郵便行政化、民営化、分列化といった、「現代郵便制度」の嚆矢はタクシス家を元祖とするドイツ郵便制度にあるらしい。このタクシス家の子孫は、帝国から得た保証金を投資して、現在でもドイツ最大級の金持ちであるそうだ。少し前にニュースになった8歳の大富豪というのはこの家の少年のことらしい。近代以前の郵便制度は検閲が当たり前だったというのも、考えさせられるが、インターネットのメールシステムが郵便配達制度と同じであるというのはよく指摘されることである。その意味では、インターネットの検閲というものは宿命みたいなものなのだろうか。
★★
