新華僑 老華僑  | 新書野郎

新華僑 老華僑 

新華僑老華僑―変容する日本の中国人社会 (文春新書 631)新華僑老華僑―変容する日本の中国人社会 (文春新書 631)
譚 ろ美

文藝春秋 2008-04
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これは譚璐美が劉傑に提案した企画なのだという。劉が在外研究でNYに来て意気投合したのかも知らんが、莫邦富とか段躍中とかじゃなくて、譚が専門外の劉を選んだのは、日本はもちろん、中国共産党とも距離を置きたかったからなのだろうか、もっとも「右翼メディア」の新書ということで、莫や段の線はなくて、最初から経験者の二人に決まっていたのかもしれん。その出身母体通り、譚が「老華僑」、劉が「新華僑」のパートを担当したという訳でもなく、譚は「ルポ担」、劉が「歴史担」みたいな感じ。なるほど、これは所属母体通りである。最後に二人の対談で締めということなのだが、この会話は北京語だろうか、日本語だろうか。譚は長崎、神戸、横浜と出向いて話を聞くといういつものスタイル。劉もセオリー通りの文献主義。つまり極めてオーソドックスなスタイルなのだが、注目点は譚が終戦後の「中華民国人」について、「ドサクサ紛れの幸せな時代」と評していること。この辺は「日本国籍者」としてのバランスか、文春のバランスか。劉の方の注目は廖承志が五十年代に来日した時に説いたという「五星紅旗は表に掲げるのでなく、心の中に掲げることが大切である」という言説。この出典は不明だが、この本の出版時期に起きたことと、あまりにもタイムリー過ぎないか。別に劉がそこまで計算していたとも思えんが、在日中国人の間に「愛国熱」が高まった時代に、「日本通」の廖承志がその熱を戒めたという話は興味深い。ふと「反日デモ」時の王穀の対応を思い出したが、今回も王毅が大使だったら、あそこまではさせなかったのかもしれない。王毅はその対応が評価されたのか台湾弁公室主任に昇進したが、この著者二人も台湾に関しては、やはり「一つの中国」を堅持。劉自身はさすがにないだろうが、中国籍からの帰化が年間5千件前後で推移ということも書いてある。譚は帰化済だが、中国人の場合、自身の様に、第三国に居住する為に、日本のパスポートをとるというのが主流であることに関しては言及がない。
★★