少年たちはなぜ人を殺すのか  | 新書野郎

少年たちはなぜ人を殺すのか 

少年たちはなぜ人を殺すのか (文春新書 632) (文春新書 632)少年たちはなぜ人を殺すのか (文春新書 632) (文春新書 632)
浜野 アキオ

文藝春秋 2008-04-21
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ありがちなタイトルだと思ったら、宮台と香山リカの対談集という如何にもクソ本っぽいのが既に存在していた。草薙厚子ではなかったが、こちらはイギリス人のノンフィクション作家のものらしい。過去の少年による殺人事件をズラッと並べて、最後にまとめて論評を加えるというスタイルだが、428ページもあったので、新書なのに往復の時間を費やしてしまった。これはそれだけイギリスで事件が起きているという訳でもなく、米の事例を多く入れているから。英国辺りだと、米国の事件は国内感覚なんだろうが、レイプ系はアメリカが多いというのが相場だったのに、英国でも最近、起きているとかしている。今や銃犯罪と死刑の有無くらいが、英米の違いか。イギリスの少年による殺人事件は年間二桁程度で、親による子殺しは一週間に一回だという。おそらくは日本より多いはずだが、夏になるとパチンコ放置とか連日報道されてる様な感もあるから、意外と大差ないのかもしれん。しかし、少年Aとかじゃなくて、全部、実名(たぶん)なのは、そう報道されているからだろう。文春も実名派だったとは思うが、海外の少年は実名でよくて、国内はダメというのも変な話だ。メアリー・ベルやショッピングセンター幼児連れ去り虐殺のロバートとジョンなどは日本でも有名だが、犯罪者として裁かれいずれも釈放されているという。酒鬼薔薇の様に「罪」として問われずに釈放されている訳ではない様だ。少年を裁判にかけること自体については議論の余地はないらしい。問題となるのは犯罪の要因ということで、取りざたされているゲームや音楽、ポルノについて著者は無罪を宣告している。それも当然のことなのだが、一番クロなのは、少年犯が親から受けていた虐待とみている様だ。特に性的虐待は顕著にみられる傾向だそうだが、日本の少年犯罪において、この手のことがあまり表に出ないのは文化的なものだろうか。ネグレクトも危険だが、少年犯が養父母に育てられたケースが45%も多いというのは、それが原因として考えていいものだろう。こういうデータを日本で表に出すことは難しいところがあるのかもしれない。
★★