エビと日本人Ⅱ

村井 吉敬
エビと日本人 2 (2) (岩波新書 新赤版 1108)
第一作から、もう20年も経つのか。鶴見良行が死んでからも、もう14年というから時代というものを感じさせられものだが、著者が批判してきた「世界一のエビ輸入国」日本が、アメリカにその座を譲ってからも10年経つという。当時の論調としては、日本人がエビを高値で買うから、生産地の人の口に入らなくなってしまったみたいなことだった様な気がするのだが、実際は当時から養殖が主流であって、その担い手も当時から日本人ではなく、台湾人であったことは、今回の本を読んでも確認できた。となると、鶴見のバナナも、告発している対象は日本や日本人というよりも、食糧の自給率やグローバル化、大企業の資本投下による自然破壊、そして農薬や抗生物質による食の安全性という、極めて今日的な問題であったということなのだろう。毒ギョーザの問題は、正に予言されていたと言っても過言ではないのだが、中国というアクターが、ここまで日本の食に関わってくるとは著者も予想だにしなかった様だ。レスター・ブラウンの予言が「今のところ」外れていることを著者も指摘しているのだが、この説は、中国政府ならずとも、否定的に捉えるのが主流だったと思う。しかし、予想を上回るスピードで飽食の時代が続いている状態では、その予言も近い将来、甦る可能性は否定できないだろう。アメリカが日本からエビの消費量のトップの座を奪い返したのも、飽食嗜好から健康志向へのシフトであり、エビ料理の豊富なバリエーションだという。そうした点において、日本よりアメリカが進んでいるというのも意外な気がするが、日本のエビ輸入分の多くは加工品のエビフライらしい。アメリカも肉食オバケみたいな生活はもう流行らないとは聞いているが、マックにエビバーガーはあるのかしら。いずれにしても、飽食から健康へは中国もいつかシフトするだろうし。どんな食材でもそうなんだろうけど、エビ料理のバリエーションは、中華は最強でしょう。
★★