「ニッポン社会」入門  | 新書野郎

「ニッポン社会」入門 




コリン ジョイス, Colin Joyce, 谷岡 健彦
「ニッポン社会」入門―英国人記者の抱腹レポート (生活人新書)

「ニューズウィーク日本版」の在日外国人コーナーによく登場している著者だが、元々「ニューズウィーク日本版」勤務だったとは知らんかった。その拡大版が新書になった訳だが、副題に「英国人記者の抱腹レポート」とあり、NHK的には「抱腹」なのだろうが、「ガイジン」に日本のおかしなところを指摘してもらって、それを自虐的に笑うといったこれまでのパターンとは一線を画している。あくまでも日本人読者向けに書かれたものということを割り引いても、著者が「自虐」するのは母国イギリスの事情の方であって、お約束の日本社会への批判はほとんどなく、唯一ともいえる批判は、現在の職場である「デイリー・テレグラフ」本社デスクの無理解に対するものである。この点は英国人の特派員という著者の立場が、日本の生活を快適なものにしているということもあろう。日本を批判することで、自国の「道徳的優位」を証明する必要もなければ、国の経済力の劣位を認める代わりに、個々人の「人情」を誇る理由もない。どこの国でも95%は善人で、5%は悪人というのは真理であると思う。違うのは表現方法と政情だけであるのだが、見ず知らずの人間に「チーノ」とか、「小日本」とか勝ち誇った様に侮蔑されたら、ニワカ愛国者として、ニッポンの「道徳的優位」を説きたくもなるというものだ。その意味では日本人が英国に住むのと、英国人が日本に住むのは決してイーブンではなかろう。そうしたアンバランスに著者が気が付いていることは容易に想像できるが、その弁明ともいえるべきものではないかとも思う。「右傾化」が「鬼畜米英」に流れる向きもある様だが、自国民は侮蔑されていると洗脳するのは愚かなことである。
★★