性犯罪者から子どもを守る  | 新書野郎

性犯罪者から子どもを守る 




松井 茂記
性犯罪者から子どもを守る―メーガン法の可能性

メーガン法についての啓蒙新書。著者はブリティッシュコロンビア大学(というとカナダか)教授という法学者の人なので、運動系ではなく、純粋に法学面から論じている。日本では宮崎勤から小林薫まで、子どもに対する性犯罪者は何か類型化された見方がされているが、そうした犯人の精神分析については特に言及せず、犯罪の予防、懲罰にメーガン法が適合するかどうかが論点である。前科者をGSPで常に監視対照となったり、インターネットで個人情報を公表されたりするということ自体が法学的な刑罰になるのかどうかは、法の下の個人の権利を侵害するということもあり、意見が分かれているそうだが、そこには周辺住民の知る権利との兼ね合いもあり、法整備には色々とハードルがありそうだ。住所、名前はもちろん、身体的特徴、社会保険番号までインターネットで公開してしまうというのは費用対効果の側面もあるそうだが、更生に重きを置く日本の刑罰に対し、アメリカでは刑罰は報復が目的であるところが大きいそうで、その辺りの矛盾は生じない様である。とはいえ、例えそれが公開されたところで、どれだけ再犯防止に役立っているかは難しいところだ。かつてプロ野球選手が女児に対するワイセツ行為で逮捕されながら、数年後に復帰していて驚いたことがあったが、あういう性癖は更生可能なものなのだろうか。社会的に抹殺されてしまうと更生不可能とは言えるだろうが、明確なガイドラインがあれば、不毛な精神分析よりは役立つものなのかもしれない。ただし、子どもに対する性犯罪の大部分は家庭内で発生しているということには留意されたし。
★★