ホワイトハウスの職人たち
マイケル・ユー
ホワイトハウスの職人たち
政治ものかと思ったら、文字通り、ホワイトハウスで働く職人たちの話だった。こちらは如何にも新潮新書らしい軽い仕上がり。著者は韓国出身で松下政経塾出身でもあるという韓国系アメリカ人らしいが、「職人文化」と遠いイメージがあると思われている韓国とアメリカへの偏見を是正する意味合いがあったのかもしれない。とはいえ、登場するホワイトハウスの職人の半分は外国生まれの移民であるというのもアメリカという国を象徴している様な話だ。また、菓子職人や料理人などはトップクラスになると外部で働いた方が収入はいい様で、ホワイトハウスの専属から離れてしまうというのも、アメリカ的な話である。仕立て屋、理髪師、フローリストは専属ではなく「通い」の身分なので、外部で名声を利用して稼ぐことも可能とのことだが、ホワイトハウス御用達という名誉が彼らを支えていることは言うまでもない。9.11以降、こうした人たちにはセキュリティの面から取材制限でもあるのかと思いきや、そうでもない様で、アメリカではモニカ事件なんかでも分かるように、ホワイトハウス内部での出来事はゴシップの対象となっている伝統があるので、「国家機密」に属する様なもの以外はわりとオープンである様だ。大統領のアレルギー体質なんかは「国家機密」らしいが、ホワイトハウスの住人でなくなったら、それも解除されるのは言うまでもない。そうしたことを含めて、在任中も常に支持率と戦わなくてはならない大統領にとっては、ホワイトハウス内部のあれこれはイメージ戦略として、可能な限りオープンにするというのが得策なのだろう。それにしても、日本の場合、キャピトル東急(閉店)の理髪師ぐらいしか話題にならないが、首相官邸の職人たちというのはどういう人たちなんだろう。まさか「職人肌」だから表に出てこないという訳でもないだろうが。
★★