アメリカの原理主義
河野 博子
アメリカの原理主義
著者は読売の元ニューヨーク支局長。一昔前、海外特派員は「横のものを縦にするのが仕事」なんて言われたものだが、それでもニューヨーク支局は花形。このポストに女性が就くことはあまり現実的ではなかったが、最近の大手紙は女性特派員が多くなった。単に新聞記者自体に女性が少なかった(あるいは寿退社してた)だけだったのかもしれないが、「横のものを縦にする」以上の能力が求められる時代にあって、長く女性優位が続いている留学組からの採用も増えているということでもあろう。政財界みたいなジジイの巣窟では女性の取材記者が食い込むのはなかなか難しいし、それこそ場合によっては「女の武器」を求められたりもするのだが、市井の人たちの取材では女性の方が特性があるのではないかという気もする。特にこうした外国社会では圧倒的に女性に優性がある(それも女の武器ではないかと言ってしまえば、それまでだが)。前置きが長くなったが、そうした意味でジェンダー関係の記事はよく出来ていると思った。もはやアメリカ最大の圧力勢力である「宗教右派」が駆逐の対象としている「中絶」や「同性結婚」はジェンダーと切り離せない問題だ。ジェンダー=フェミニズムという図式はとうに崩れ、フェミニズムが後退する一方で、こうした「原理主義」が台頭してきている。原理というとかつては統一協会の代名詞だったが、韓国カルトがどこから教義を剽窃したかも見えてこよう。「禁欲教育」の息子が文鮮明で、孫が摂理というのも皮肉な話だが、「教祖」に絶対的な権力を与える東洋儒教カルトに、キリスト教という精神的支柱がある西洋社会の理念など分かるはずもない。これを理解できるのが兄弟宗教であるイスラム教であったり、ユダヤ教である訳だが、となるとテロも「テロとの戦い」も似たような論理に基づいた帰結なのだろうか。聖書にどう書いてあったとか、アッラーがどう言われたとか、我々にとって理解不能な言説で正当化されるこの地球の争いは出来ることなら傍観者を決め込みたいものだ。
★★