カナダに高校留学していた頃のはなし。


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私が住んでいたオンタリオ州トロントはカナダの東側に位置する商業都市。
ナイアガラの滝から車で約1時間ちょっと。
11月から4月(遅いときでは5月のゴールデンウィークごろまで)までは雪に覆われた白銀の世界。


この期間はどうしても外出が億劫になってしまう。
外出時、睫毛が凍るのはあたりまえ、鼻毛まで凍ってしまうからである。
ただし、室内は半袖でちょうどいいほどの暖房が効いており、
外と中の気温差は40度前後・・・


その年、カナダの東部は大寒波に襲われ、トロントでさえ-30度以下となった。
オンタリオ州のお隣ケベック州ではさらに気温が下がり-40度以下。


なんと翌日の新聞のトップページに出ていた記事は
「イヤーマフなしで外出した男性、耳が落ちる」 落ちる???
大寒波に見舞われていたにも関らず、イヤーマフなしで外出し
はずみで物が耳に当たり、凍った耳がそのまま顔の横から落ちてしまったらしい。
嘘のような話だが、新聞に写真付きで載っていたのでホント。


カナダでは「お洒落」よりも「防寒」が第一。ショートパンツにブーツという格好はありえない。
冷蔵庫も食べ物をカチコチに凍らせないためにある。
冷凍みかんが食べたくなれば、みかんを一晩外にビニールに入れてぶら下げておくだけでOK。


ちなみにナイアガラの滝も凍る。冬のナイアガラも結構お薦め♪


寒さにはくれぐれも注意。



ツアコンをしていた頃の話。
まだまだ駆け出しだったころに年末年始のツアーで釜山へ。
そのツアーは一隻の船を貸し切り、乗客+ツアコン=900人前後の大所帯ツアーだった。
3泊4日の日程なのだが、うち2泊は船の中なのでともて安上がりな上、
お正月家族で海外へ行きたい方にはお薦めのツアー。


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さて、お客様にとっては安く海外へ行けるので、お得なツアーと言えるのだが
私にとってはできればアサインされませんよーにと願いたくなるような仕事だった。
というのも、船があまり得意ではなかったので2日間も船の上で過ごさなければいけないのは
苦痛意外の何者でもない。
船に酔ったからといって仕事を休むわけにもいかず。
1隻の船が全てうちの会社のお客様ということもあり、通常の業務プラスしてレストランにもヘルプとして
入らなければならない。気持ち悪くて立っているのがやっとなのに・・・と半泣き状態。
1分1秒が果てしなく感じた貴重?な体験である。


翌朝、8時過ぎから一斉に下船がはじまり、各号車に分かれてプサン観光開始。
韓国旅行のいい所は時差がなく、お箸を使う民族だし、見た目にも西洋人ほどの違和感がないことだろうか。
個人的には何度行っても「また来たい!」と思う国に入る。
実際にツアコンを辞めてからも何度となく韓国には足を運んだ。ま、韓国人の男性とおつきあいをしていたことも
要因の一つだが。


プサン上陸はたったの1日半という過密スケジュールだったせいか、
観光 → 食事 → ショッピング → 食事という日程もあっという間に過ぎていく。
慌しくチェックインを済ませ、なんとか全てのお客様がそれぞれの部屋へ。
各部屋をまわって問題がないか確認を終えたら、やっと自分たちの時間である。


このツアーで一緒になった別の支店の添乗員とも妙な絆ができ、
4人だったということもあり(添乗員同士もそれぞれグループができていた)誰かの提案で
夜の街へ繰り出すことに。
誰一人としてハングルが読めないのにも関らず、英語と日本語、そしてジェスチャーを駆使して
何と韓国の地元の若者たちで賑わうディスコへ。←当時はまだディスコ


お店の中心に一段高くなった舞台があり、所狭しとみんな踊っている。
韓国人の踊り初めて目にしたときにはおかしくて笑いそうになったが、
アルコールも入ると私たちも一緒になって同じように踊った。
そのツアーで溜め込んだストレスを一気に発散させるように踊りまくり。
音楽は国境を越えるというが、きっと踊りも同じだなーと感じた。
コミュニケーションなんてまともにとれなかったが、なぜかとても楽しかったのを覚えている。
きっと何をどのように頼んでいいかわからず、4人ともほとんど韓国のお金を持ってなかったのに、
やたら飲んだり食べたりしていた。
きっと心の優しい誰かが払ってくれたのだろう。感謝、感謝。


・・人差し指を立てて踊っている人が多かったのがとても印象的。当時は流行っていたのだろーか。
未だに謎である。


プサンを出発する朝、現地のガイドさんに「昨日はお部屋にいらっしゃいませんでしたね?」とつっこまれ、
ディスコへ行ってたことを告白すると、しばし彼女の目は点になっていた。
ガイドさんの目を点にさせたのはこれが最初で最後ではないが、
続きは追々。



ツアコンをしていた頃の話。
シーズンを迎えた観光地というのはどこも同じでとにかく人・人・人。
頭ではわかっていてもついつい思ってしまうこと。
「この人たちは一体どこから来たんだ??平日なのにぃ~~」
北陸のとある有名温泉地へのツアーへ行った際、ホテルはどこも満室で
ゆっくり入りたいお風呂だって芋の子洗う感じ。風情?そんなものは微塵も感じられない。


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さて、ホテルは満室で万々歳だろうが、ツアコンをやってる私たちだって
基本的にはお客様と同じホテルに泊まらなくてはならない。(例外も多々あったが・・・)
そんなときホテルはどうするか?
ツアーの添乗員同士を相部屋にするのである。一人か二人の添乗員と一緒になるならまだわかるが、
ひどい時などは10人前後になることも。こうなると修学旅行状態である。
一日中お客様の相手をして疲れているときなどは、せめて自分の部屋ではゆっくりしたいのに、
布団に入るまで気を遣うことになる。


繁忙期に入った北陸の温泉地へ仕事で行った際、覚悟はしていたがチェックイン時にフロントへ聞いてみた。
私「今日は相部屋ですか?」
フロント「はい、申し訳ありません。本日は満室ですので。ですが相部屋の方は同じ会社の方ですよ」
と分けのわからない言い訳をされてしまった。
全国に支店があるので同じ会社だからと言って、顔見知りと一緒になる可能性なんてゼロにに近い。


そんなときに相部屋になったFさん。
とっても美人で女性らしい方。お互いに次の日も早い出発だったが話に花が咲き、色んな話をした。

Fさんはこのツアーに何度かアサインされ、ホテルの人に顔を覚えられるほどだったみたい。
何回目かにこのツアーに参加し、食事を終えて宴会場を出ると
Fさんの靴を手のひらに載せたフロントマンが立っていたらしい。そして一言「一緒に飲みませんか?」と。
Fさんは恐怖と気持ち悪さで靴を掴み取り、走って部屋へ戻ったらしい。
その5分後、部屋をノックする音がしばらく聞こえてたとのこと。
相手はホテルの人なので、合鍵で入って来るのではないかと恐ろしくて寝れなかったと。


誰かがわかっているだけに恐ろしさ倍増だったツアーに違いない。