汐留は、便利な街だ。
美味しい店が多いし、各線が乗り入れ、濡れずに駅から移動ができるのもありがたい。新橋を抜けて銀座もすぐだ。

新橋ミクニには何度も訪れた。
パークホテル東京とロイヤルパーク汐留タワーには、思い出がある。・・・来るたびに、せつなくなる街でもある汐留。
これから思い出をつくるのなら、コンラッドか。


ここがホテルだとはとても思えない、クールなエントランス。
ゴードン・ラムゼイに訪れて以来である。無愛想なエントランスのスタッフには辟易したが、ロビー階にはまだあたたかみがある。エレベータホールから、まっすぐ奥の「チャイナ・ブルー」へ。

ゴードン・ラムゼイとは反対に位置するチャイナ・ブルーだが、雰囲気というかつくりは似ている。吹き抜けの高い天井いっぱいに広がる窓からは、東京湾が一望できる。夜景はさぞ美しいことだろう。
昼はしかし、そのストレートな明るさが四十路近い女には「脅威」である。これはどの席でも同じこと(笑)。昼のデートにはご注意を。

ここで眺望のよい席は、窓際と、壁際の一段高くなっているラブシート。色合いがとても素敵! 予約の際は、さらに「レインボーブリッジが見える席」と指定したほうがいい。大きな柱があるので、場所によっては肝心のところがみえないのである。


さて、メニューは昼には2800円のセットもあるので、とりあえずお試し、軽くランチなんていうときにはいいかも。わたしたちは7800円コースをチョイス。このコースだけ、〆の麺飯類がついていないというのも、できるだけ炭水化物をとりたくないわたしには嬉しかった。



美しい盛り付けのアイデアあふれるヌーベルシノワ。ちょっと濃い目の味付けはワインに合う。ただ、ふかひれの姿煮やアスパラの炒め物など、滋味あふれるだしの味わいや素材の美味しさを感じたいものは、もう少し上品な味付けにして欲しい。パンチの効いたメニューのほうが、シェフは得意なのかもしれない。
かりっと香ばしく焼き上げたスペアリブは、添えられたオレンジとふわっと盛られた花びらと葉っぱが、骨付き肉の脂っこさを中和してジューシーな旨みを際立たせ、本日一番の美味しさだった。



また、デザートも中華にしてはかなり凝っている。梅酒のシャーベットに、メロンをそのまんますくってタピオカと共に食べやすく皿に盛ったもの、そして揚げ菓子だ。
お茶は無料で出してくれる。
雰囲気もよく、料理もなかなか気に入った。残念なのはただひとつ、「サービス」である。

ゴードン・ラムゼイも料理は素晴らしいがサービスに憤慨した記憶がある。そのときも一緒だった友人と「サービスがねぇ」とため息をついた。
ここは東京のなかでも、超のつく一流ホテルのひとつだ。それだけになぜ・・・と不可解でならない。共通して感じるのは、「もてなしの心」が感じられないということ。ひとつひとつの受け答えや動作に「丁寧さ」が欠ける。特別な粗相があったわけではないが、こうした「文句をいうまでもない不満」の蓄積が、サービス業にとっては致命傷となる。

もちろん、料理やサービスというものを一回の訪問で決めるのはどうか、という意見もわかる。だが、その「一回」も訪れた人にとっては大事な一回であり、その店との出会いの場なのだ。決めるも決めないも、こうして書くも書かないもその人の自由。相性と運が双方にとって悪かったということだろう。

料理についてはともかく、やはりサービスについてはスタッフが複数名いる以上、全体に漂う「サービスの空気」でわかるもの。ミスは誰にでもある。けれど、そういうことをあげつらっているわけではないのだ。

最近は、価格の低いチェーン店やなんでもないお店でも思わぬ素晴らしいサービスを受けることが多い。それだけに・・・

とはいえ、ある程度の人数で楽しくおしゃべり、がメインならここはおススメ。特別な日には、サービスが重要だから今のところNGかな。いつか泊まりたいホテルだからこそ・・・ちょっと悔しい。