この世の全ての物事は実体のない空(くう)である。
これは、北インドで発展した大乗仏教の基本的な考えで、お経の中でもよく耳にする般若心経に簡潔にまとめられています。
般若心経は写経のお手本にも使われることもありますね。
私も一度、般若心経を写経した事があります。
これまで神道の根源たる精霊信仰の「森羅万象に魂、神が宿っている」という考えを記してきましたが、今度は「この世の全ては空(くう)=空っぽだ」という考え方について記します。
釈迦が入滅後、仏教の教義が整理されていく中でアビダルマという哲学が生まれた。
仏教の概念の実体について研究され論争が起こり、そのアビダルマの実体への執着を批判して、物事は全て実体の無い「空」(くう)だと強調し、物事の実体に囚われない考え方を獲得する為に六波羅蜜を実践する大乗仏教が成立しました。
空と縁起
空(くう)という、全ての物事は実体の無い空っぽだという考え方から発展して、
縁起(えんぎ)という、物事は空だが、別の物事のおかげで実体を持つことができるという考え方も生まれました。
例えば母親は子供がいるから母親になれるというように、物事は空であり空同志は支え合う関係(縁起)で結びついていると言える。
空の活かし方
ある物事に対する怒りや憎しみの気持ちは、縁起によってその物事からの怒りや憎しみを引き起こしてしまいます。
例えば誰かのしたことに対して怒って口げんかで相手を憎らしく思い罵倒したら、
向こうも負けじと倍返しで暴言吐かれ、どちらも怒り憎しみを引き起こすといった事態のような。
そこで空を意識し、怒りや憎しみが空である事に気がつけば、物事に対する執着心も薄らいでいきます。
やがて、怒りや憎しみという嫌な気持ちも起きなくなっていきます。
とは言え、なかなかそこまで即座に悟れないのが普通の人間ですよね。
そこで空になる方法
六波羅蜜(ろくはらみつ)
- 般若(はんにゃ)波羅蜜 こだわらない心 何事にもとらわれない心を持つという事
- 布施(ふせ)波羅蜜 与える事 困っている人にものを与える事。但し恩着せがましいのはいけません。
- 持戒(じかい)波羅蜜 戒律を守る事 殺生・飲酒・嘘ついてはいけないなどの戒律を守る
- 忍辱(にんにく)波羅蜜 苦難に耐え忍ぶこと 精神的なものも含まれる
- 精進(しょうじん)波羅蜜 努力すること 一途に一生懸命やる事
- 禅定(ぜんじょう)波羅蜜 精神を統一すること 瞑想を通じて精神統一すること
それから般若心経の最後には智慧を呪文にしたのでこれを唱えて頭を空にしようという呪文があります。