黄泉の国【3】構成員を考察 | 心の鏡

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天の霊妙不可思議な法則、神道について書いているブログ。心の鏡とは内在神を表し、神社のおみくじの神の教に「神様の御光が我が心の鏡に映るその時、凡ての心の曇り、心の闇は晴れゆきて、広き明き御恵みを授かる事が叶う」とあったところから命名しました。

普通、日本神話(古事記)の順でいくと、次に黄泉の国から脱出した伊弉諾尊(いざなぎのみこと)が、穢れを落とす為に禊をする話になりますが、そこら辺は黄泉がえりした後の話であって、黄泉の国から離れてしまうので、私はもう少し黄泉の国、日本古来の死後の世界観がどんなものだったのかを深堀していきたいと思います。

 

伊弉冉尊が来る前の黄泉国

伊弉冉尊(いざなみのみこと)が、火の神を産んだ後に亡くなって黄泉の国に赴いたという話から察するに、黄泉の国、夜見の国、根の国、根の堅州国などと呼ばれる他界は伊弉冉尊が行く前に既に存在していた事になります。

しかも「よもつへぐい」ルールも出来ていた。法の秩序みたいなのがある。

 

※「よもつへぐい」とは、地下にあると考えられていた黄泉の国のものを食べると、地上の国に戻れなくなる掟です。


「黄泉国」と言われる「国」には、それなりに組織構成員が数多く集まって秩序もあった様子が伺えます。

 

黄泉国の構成員を考察

そこで、その黄泉国の構成員を考察したいと思います。

 

黄泉醜女 軍隊あるいは衛兵・護衛隊・警備隊

伊弉諾尊(いざなぎのみこと)は、黄泉醜女(よもつしこめ)たちに追われたとあります。

黄泉醜女は黄泉国の「軍隊」と言う説も見ましたが、

私が思うに「伊弉冉尊は8人の黄泉醜女に追いかけさせた」ってあるので、

「衛兵」とか「護衛隊」「警備隊」の方がぴったり当てはまる感じがします。

軍隊にしては8人って少なすぎるし、それじゃ国防意識が低すぎやしないか?

全軍のうちの一部だとしても、

「八」は多い・大きい・沢山という事を表すこともあったので、(例えば八尺瓊勾玉のような…)そういう言葉の使い方で、八人=沢山の醜女たちだったとしても、

軍隊とまでは言えない気がします。

「よもつしこめ」は泉津醜女とも泉津日狭女(よもつひさめ)とも言いますが、

食い意地が張っていて、葡萄や桃などの食べ物を投げつけられると、そっちの方に引き寄せられて食べるの夢中になって職務放棄していましたからね。

『そんな犬猫が餌を投げられてるんじゃないんだから。それでも軍隊なの?』

…と呆れていましたが、考えて見ると今時の警察犬の方が訓練されてて賢そうです。

 

泉守道者 黄泉平坂の道の番人

そして黄泉平坂の道の番人である泉守道者(よもつもりみちびと)は菊理媛神と共に伊弉冉尊の言葉を伝言しましたから、

「道の番人」という役目を担う者もいたわけです。

でも番人がいたなら、最初に伊弉諾尊が来た時に通してはいけなかったのに、

何やっていたんでしょうねぇ?

そもそも番人がしっかり見張って防いでいたら起こらなかった騒動でしょ。

千引岩で境をふさがれた後は、お役目御免だったことでしょうね。

だからあんまり名前が出てこないんだな、きっと。

 

※ちなみに黄泉平坂をふさいだ「岩」の方は、泉門塞之大神(よみどにふたがりますおおみかみ)とか他の名の神様になっています。

大昔の日本人の感覚では伝言役の番人より岩石の方が貴いようです。

磐座(いわくら)といって、岩石は古(いにしえ)から神の依り代でしたからね。

 

八色雷公(やくさのいかづち)

黄泉の国で伊弉冉尊の体は膨れ上がり、その上に八色雷公(やくさのいかづち)がいましたという説もあります。

首(かしら)にいるのが大雷(おおいかづち)、胸にいるのが火(ほの)雷、

腹にいるのが土(つちの)雷、背(そびら)にいるのが稚(わか)雷、

尻にいるのが黒雷、手にいるのが山雷(やまづち)、足の上にいるのが野雷(のづち)、陰部の上にいるのが裂雷(さくいかづち)

 

これは何でしょうね?ご遺体が色々な電光を放っていたのかな?謎ですが黄泉の国にいたものたちです。

この八雷神ともいわれる者たちに1500の黄泉軍を添えて伊弉諾尊を追わせたそうです。

龍蛇神や悪霊・邪気・魔物・鬼とか犬猫などの獣という説もあります。

 

黄泉神・黄泉大神・黄泉津大神(道敷大神・道返大神)  

伊弉冉尊が黄泉国を支配する「黄泉津大神」(よもつおおかみ)「道敷大神」になったと言われています。

また、伊弉冉尊を追って伊弉諾尊が追いかけて黄泉の国までやってきて元の国に還る事を促すと、伊弉冉尊は黄泉神(よもつかみ)に元の国に還る為の相談をしたというので、先に「黄泉神」がいらしたことになります。​​​​

 

国常立神・豊雲根神

江戸時代後期の国学者・平田篤胤の著書『霊の真柱』によると、

「黄泉・泉(よみ)は、夜見で月」説で、

第四図に天と地と泉(よみ)が完全に分かれる前、伊弉冉尊もまだ来ていない頃

泉(よみ)には国常立神(あるいは国之常立神、国常立尊)と豊雲根神(変換しにくい漢字を使ったりもする)が現れていました。

 

須佐之男命

須佐之男命(すさのおのみこと)も根の国に至ります

 

大国主命

国譲り後には大国主命(おおくにぬしのみこと)が幽冥界を主宰することになりました。

 

大禍津日神

この神様は、おおまがつひのかみと言って、伊弉諾尊が黄泉の国から戻ってきて禊祓をした時に生まれた神で災いをもたらす神と言われているのですが、

『霊の真柱』の第9図には黄泉の国に伊弉冉尊・須佐之男命と並んでいらっしゃいます。