常世はどこよ?
とこよ(常世・常夜)の国とは、
「この皇国をはるかに隔たり離れて、たやすく往きかひ難き処」 本居宣長『古事記伝』
「死者の行く所」『古事記』『万葉集』
「不老不死の国」『日本書紀』
「海のかなたにある別世界」
「少彦名命は常世国から小舟に乗ってやって来て、そこへ帰った」
「第11代・垂仁天皇は田道間守に常世の国から非時香菓(ときじくのかくのみ)という霊薬をもってくるように命じている」→実在した国?
「常世の国は海神(わたつみ)の宮として、海幸彦・山幸彦神話にも登場する」
『日本の神話 起源と物語』より
「海のかなたにある世界」
海神の宮は海底世界で常世の国とは違う
『最新発掘調査でわかった日本の神話』より
「海のかなたにある不老不死の国のこと」
「少名毘古那神が国づくりの途中で帰ってしまった海のかなたの国」
『イチから知りたい!神道の本』より
そんなこんなの情報から、私は常世の国って常陸国(茨城)あたりじゃないか?と思ってますが、
日本書紀の神宮の創始の記事には、
天照大御神が倭姫命によって伊勢の地に入った時に
「神風(かむかぜ)の伊勢国は、常世の浪(なみ)の重浪帰(しきなみま)する国なり。傍国(かたくに)の可怜(うまし)国なり。是(こ)の国に居(お)らむと欲(おも)ふ」
〈訳〉
伊勢は常世からの波が重なって打ち寄せる、東の端にある美しい国である。この国に留まりたい
…と、託宣したと記録されているのです。
それで、伊勢周辺の海流を調べてみたところ…
向かい側の知多半島あたりから波が打ち寄せているようでした。
そして「常」の字がつく「常滑(とこなめ)市」という地名があって、陶器の生産が盛んな地域。常滑焼ってよく聞く。
『もしかして常世の国って、この辺?』と思いましたが、
それじゃ近すぎやしないか?
遥か遠く海のかなたにあるって言うからには、
もっと遠くまで行ける太平洋側にある海流で北上して、
せめて伊豆半島ぐらいまでは離れていた方が、それらしく思う。
それから「非時香菓」を常世の国に探し求めに行った田道間守(今は菓子の神様)ですが、
10年を経て目的の実を探し出して帰国したとか、
日本に帰国して最初にその非時香菓=橘の実を植えたのが、佐賀県伊万里市岩栗山という伝説もあります。
そうすると常世の国は外国という事も考えられますね。
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