他界の諸相ー主な著述ー
前回、他界の諸相について以下の7つを記しました。
1.かくりよ(幽世・幽冥)
2.たかまのはら(高天原)
3.とこよ(常世・常夜)
4.よみ・よみのくに(黄泉・夜見・予美国)
5.ははのくに(母=須佐之男命の母である伊邪那美神が行った黄泉の国、根の国と同義)
6.わた・わたつみ(海・海神)
7.根の国・底の国・根の堅州(かたす)国
これらは主に神話における用例で、
これら以外および時代が下るに従っての「他界観」は、
仏教・儒教・道教など外来思想の影響を受け、
神仏習合思想のもとに進展して普及していった。
また、近世の学問研究の進展により、古典世界に基づいた他界観の理解が深まっていく。
…という事で、日本の他界観についての主な著述です。
明暦2年(1656年)
度会延佳の『神代之図』
元禄4年(1691年)
真野時縄の『神代之図解』
※度会延佳の『神代之図』に解説を付して板行された
寛政3年(1791年)
服部中庸の『三大考』
※この書を契機として、この種の著述が相次いでゆく
享和2年(1802年)
度会正兌(わたらいまさとき)の『三大考説弁』
村田春海の『霊ノ行方』
享和3年(1803年)
斎藤彦摩呂 『顕身ノ悩』
文化9年(1812年)
平田篤胤 『霊能真柱』
幕末から明治
大国隆正『死後安心録』
六人部是香『顕幽順考論』
矢野玄道や敷田年治なども関連する著述を成している
以上、他界について、その意味や背景については、また次回以降に。