渡邉理佐 × 小林由依
学パロ
入学式が終わってから、はじめての登校日
隣には私の手を握って
ルンルンで歩く理佐ちゃん
由「ねぇ、私もう子供じゃないし」
由「この年で手繋ぐなんて恥ずかしいよ」
理「由依はいつまでも由依なの」
私の言葉を気にも留めず
理佐ちゃんは繋いだ手を大きく振る
理佐ちゃん。
ちっちゃい頃からずっと一緒の近所のお姉ちゃん。
親同士が仲良しなおかげで
物心ついた時には隣に理佐ちゃんがいるのが当たり前で
記憶はないけど
幼稚園の時にはもう仲が良かったらしい
いっつも優しくて
一緒にはしゃいでくれて
でもどこか大人っぽくて
憧れのお姉ちゃんで
昔から大好き。
でも好きの種類は大きくなるにつれて変わっていって…
理佐ちゃんが大好き
付き合えるなら付き合いたい
でも理佐ちゃんはこんなに近くにいても高嶺の花だし
この気持ちは伝わらない
理「由依ちゃん、緊張ちてますか?」
ほら、また子供扱いしてからかってくる
理佐ちゃんからしたら私なんて2個年下の子供。
その差はずっと埋まらないし
どうにもできない
由「してないっ!」
思わず手を振り払う
ほんのちょっとの後悔
せっかくだから繋いでおけばよかったかな
理「怒んないでよ、カバン持ってあげるから」
由「大丈夫」
由「自分で持てるから」
理「ほんとにー?」
由「平気」
理「大きくなって、、」
わざとらしく泣き真似を始めるから
由「やめてってば」
不貞腐れてみても
そこまでもが理佐ちゃんの思うつぼで
理「由依、怒んないでよー」
私のほっぺをつつきながら
ケラケラと笑われる
そんな、私が2、3歩及ばない関係も心地良くて
結局私もつられて笑顔になる
やっぱり大好き。
いつの間にかまた繋がれていた手
今度は受け入れて握り返せば
理佐ちゃんが嬉しそうに笑うから
私もさらに笑ってしまう
そんなことを繰り返しているうちに
あっという間にバス停に着いた
理「バレー部の仮入来てね、今日からだから」
由「うん」
もちろんそのつもり。
理佐ちゃんと一緒にいるためにこの学校を選んだんだし
部活だって理佐ちゃんのいるところに入る
そう伝えれば理佐ちゃんは嬉しそうに笑って
私の頭を撫でてくれる
やっぱり年下扱いだけど
こんなことしてもらえるのは私だけの特権だから
これはこれで悪くない
「おはよ」
理「あ、おはよ」
背が高くてキラキラした人
きっと理佐ちゃんの友達の3年生かな、が近づいてきた
「なーに、その子」
「新入生たぶらかしてんの?」
理「違う違う、近所の子」
理「ずっと仲良しの由依ちゃん」
理「私のだから手出さないでね」
そのままおどけた理佐ちゃんに腰を引き寄せられて
恋人みたいにぴったりくっつく
すき。
ニヤけないようにほっぺに力を入れてなんとか堪える
理佐ちゃんはそんな私の表情には気づかずに
お友達と別れて教室の近くまで案内してくれた
理「じゃーね」
由「うん」
手を振りながら軽やかに消えていく理佐ちゃん
年上なのにそう思わせない無邪気な笑顔も可愛くて
どうしたもんか、と思わず溜め息をつく
そもそも、よく考えてみれば
私の想いを伝えるか以前に
こんな可愛い理佐ちゃんにはもう恋人がいるかもしれない
さっきお友達と話してる理佐ちゃんは
すごくキラキラしてて
私の知らない理佐ちゃんだった
そんな理佐ちゃんを好きになる人なんて
沢山いるんだろうな
近かったはずの理佐ちゃんが
少し遠い存在になった気がしてまた溜め息が出る
昨日できたばかりの友達と話しながらも
頭はずっと理佐ちゃんでいっぱいだった
放課後、ついに仮入部が始まって
ワクワクと緊張とが入り交じりながら
バレー部を見に体育館に入った
1歩踏み入れた瞬間、
理「来てくれてありがとー!」
理「荷物はこっちね」
1年生を誘導する3年生の中で
一際目立つ理佐ちゃんが目に入る
ユニフォームが似合ってて、
やっぱりキラキラしてて
相変わらずかわいい
周りの1年生も同じように理佐ちゃんを見つめていて
威嚇しようと他の子を軽く睨む
でもみんな理佐ちゃんに夢中だから
そんなことしても全く効かなくて
遠くでアップを始めた理佐ちゃんが動く度に
1年生の群れから歓声が上がる
やだ
やめてよ。
私の理佐ちゃんなのに
しかもまだ1回も理佐ちゃんと目が合ってない
私が来てるのに気づいてるのかも分からない
由「もう、、」
小さく呟いたけど
その声は誰に拾われることもなく
体験が始まってしまった
中学校でも理佐ちゃんを追ってバレー部に入ってたから
ちょっとはできると思ってたのに
高校受験の間に鈍ったみたいで体が思うように動かない
他の子は上手くできてて
理佐ちゃんにも褒めて貰えてるのに
私はフォローしてもらってばっかり
情けない姿を挽回できないまま
体験時間が終わっちゃって
私たちはまた1箇所に集められる
部長さんの話を聞きながら
理佐ちゃんを目で探すと
体育館の端の方で部員の人とはしゃいでいた
後輩らしき人に囲まれて
腕も組まれて
満更でもなさそうに笑ってる
やだ。
やだやだやだやだ。
今までそこは私の場所だったのに
私が理佐ちゃんの1番のはずだったのに
顧問の先生の話が終わって
みんなは質問コーナーに入ってたけど
もう耐えられなくて
体育館をこっそり抜け出して
駅に走る
あーあ、朝は理佐ちゃんと帰れると思ってたんだけどな
でも勝手に帰ったのは自分。
でもあんな理佐ちゃん見てられないし、
悔しいし寂しいしでどうにもできなかった。
こういう所が子供っぽいって言われるんだろうな
それでも無理なものは無理だもん
結局、一人で最寄り駅までたどり着いてしまって
とぼとぼとバス停まで歩く
バレー部、やだ。
でも入らないのもやだ。
バスが来るまでボーッとそんなことを考えていると
由「っ、、」
後ろから頭を小突かれて
振り向けば笑顔の理佐ちゃんが立っていた
理「なんで帰っちゃったの、探したじゃん」
由「別に。」
素直になればいいのに
私にはまだ難しくて
由「探さなくてよかったのに、一人で帰れるし」
理「そっか、一人で帰れるのかぁ、、」
理「由依ちゃんえらいねー」
冷たく言い放ったのに
理佐ちゃんはニコニコで
私の頭をぐしゃぐしゃに撫でてくる
由「やめて!やめて!」
理「んー?」
由「やーだ」
しばらく嫌がると
理佐ちゃんの気が済んだのか
頭から手が離れて
乱れた髪を整え直してくれる
この距離感と
このおふざけが心地良くて
私の機嫌はすぐに治ってしまう
でも、
由「私バレー部入るのやめる」
理「えっ」
理「なに、なんで、どうしたの?」
髪を撫でていた手を止めて
目をまん丸にする理佐ちゃん
その表情が可愛くて
思わず目を逸らして答える
由「だって理佐ちゃん、構ってくれないし、、」
つくづく子供っぽい自覚はある。
困らせるだけだっていうのもわかる
でも言葉にしてみれば
理「なーんだ」
由「なんだじゃない」
理佐ちゃんは安心したように笑って
また髪を撫でるのを再開する
理「入ってくれないと悲しいなー」
理「由依のこと、一番可愛がるつもりなのに」
由「1番、、?」
理「うん、私の1番はずっと由依だからね」
頭を撫でていた手が降りてきて
頬をそっと撫でてくれる
由「じゃあ、はいる」
我ながら単純だと思うけどいいもん。
だって1番って言ってくれたから
今はもう少しこの関係に甘えていようかな
いつかは理佐ちゃんの恋人になりたい
でも、まだもう少し
もう少し大人になれるまでは、このままで。