神保町の岩波ホールへ「光のノスタルジア」と「真珠のボタン」を見に行った。監督は、2作品とも、チリ生まれのパトリシオ・グスマン。
10月22日(木)
11時の上映に間に合うように、ゆっくりと家を出る。今日は、満員の通勤電車じゃなくてよかった。
一本目「光のノスタルジア」
巨大な天体望遠鏡のある、チリ、アタカマ砂漠。そこにピノチェト政権下で、そこに政治犯としてとらえられ、殺された人々の遺体が埋められていること、初めて知った。
広大な砂漠で、行方不明になった肉親の遺骨を探して歩く、女性の映像は、衝撃を受けた。
それは、宇宙を探査するのと同じくらい、果てしのないことのように思われた。
救いは、天体探査をしている学者に、招かれ(?)、大きな望遠鏡で、彼女らが、星空をのぞいた時の、笑顔だった。
また、行方不明者の娘で、祖父母に育てられたという女性が、天文台に務め、結婚して子供を育てていて、明るく未来に向かって生きている姿に、ホッとした。
天文学者の言う、「宇宙の壮大さに比べたら、チリの人々が抱える問題はちっぽけに見えるだろう。でも、テーブルの上に並べれば、銀河と同じくらい大きい」という言葉は、重かった。
美しい宇宙の映像と、アタカマ砂漠の映像は、息を飲む。
でも、日ごろの睡眠不足がたたって、何度もまぶたが下がって来て、あ~、ここで、寝てはいけないと、こらえるのが大変だった。
また、どこからか、寝息が聞こえて来たり。ドキュメンタリーなんで、おもしろいストーリーがあるわけでもなく、ハデなアクションもないから、ムリもないかも。
ピノチェト政権下で、こんな虐殺があったのを、知ることができたのは、よかった。
大虐殺と言えば、ナチスによる、ユダヤ人の大虐殺、ポルポトによるカンボジア人の虐殺、近いところでは、ルワンダでの、ツチ族、フツ族による、互いの虐殺行為、まったく、やり切れない。
引き続き13時から「真珠のボタン」を見た。
こちらは、チリ南部、パタゴニアの美しい映像と、パタゴニアの先住民の、過去に写された写真に目を奪われた。
パタゴニアの先住民が入植者により、命を落とすことになったこと、また、ピノチェト政権下で、政治犯として捕えられた人々の遺体が、レールを縛り付けられて、海に投げ入れられたということ。
人は、これほどまでに、残虐になれるのかと、あ然とした。愚かだまったく、愚かだ…。
14時半ごろ、終映。