今回は人力飛行機の製作を行う上でも流体力学的にも重要な用語である「カルマン渦」に関して説明していきます。

 

人力飛行機を製作する上で最も避けなければいけない形状が「円柱形」です。

 

東北大学Windnautsの機体を見てもコックピットと主桁を繫ぐ部分を流線型のパーツで覆って円柱形を外に出さないようにしていることが分かります(主桁は除きます)。

 

わざわざこのようなパーツを取り付けているのには理由があります。

 

その理由というのが今回説明する「カルマン渦の発生を抑えるため」です。

 

カルマン渦が発生してしまうとかなりの抵抗が発生してしまいます。

 

具体的には、通常の翼型に発生する抵抗の値を1とすると円柱形に発生する抵抗はその9倍〜10倍になります。

 

以下に翼型と円柱周りの流れを可視化した画像を載せておきます。

 

翼型の場合はかなり綺麗に空気が流れていることがわかると思います。

(翼型周りの白いモヤのようなものが空気の流れを表しています)

 

一方、円柱の場合は円柱の背後に渦が発生しているのがお分かりいただけると思います。(赤枠で囲っている箇所)

 

この赤枠で囲った渦がカルマン渦です。カルマン渦には、円柱の上部と下部それぞれから交互に周期的に発生するという特徴がありその様子が写真からも確認できます。

 

カルマン渦は空気中のみならず水中でも起こるため船の設計などでも円柱はできるだけ使わないようにしているはずです。

 

人力飛行機でも同様で円柱形を翼型で覆うか覆わないかで直接的に飛距離に関わります。