1940年代末に、マイルスの九重奏団に参加して、
49~50年に歴史的名盤、「クールの誕生」吹き込みに
参加したリー・コニッツは、その個性的なスタイルで、
一時代を築いた。
彼の演奏スタイルに大きな影響を与えたが、1945年に
出会ったピアニスト、レニー・トリスターノだった。
トリスターノは、パーカーに代表されるビバップを理論的に
再構築し、独自のアブストラクトな音楽を生み出した、稀有な
音楽家だった。
コニッツは、トリスターノの、徹底してクールかつ理論的・
抽象的なサウンドを下敷きに、、エモーションと直観的な
即興演奏の要素を取り入れ、独自のコンセプトのもと、
シャープかつエキサイティングな音楽を確立し、50年代には、
偉大なジャズマンの一人としての地位を、不動のものにした。
57年録音の「ベリー・クール」ではバップ・ラインの本質に
近づいた演奏が聴き取れる。
パーカーの「ビリーズ・バウンズ」の演奏では、バップ・プレイ
のアドリブにそっくりのラインを新しい解釈で再現し、個性的かつ
魅力的な作品に仕上げている。
その無駄のない厳しいフィーリングと、理知的で美しい表現は、
パーカーが「赤く激しい炎」に対し、コニッツは「青く冷たい炎」だ。